この研究は、超低周波(ELF)電磁界への職業ばく露と、筋委縮性側策硬化症(ALS)との関連についてのメタアナリシスである。PubMed文献データベース等を通じて、2012年4月までの研究を「職業ばく露」、「電磁界」、「筋委縮性側策硬化症」または「運動ニューロン疾患」のキーワードで検索し、同定した17報の文献についてメタアナリシスを行った。その結果、ELF電磁界への職業ばく露とALSのリスク上昇との有意な関連は、プール研究および症例対照研究では認められたが、コホート研究では認められなかった;ばく露レベルを職種で定義した研究をサブ分析した場合には認められたが、職業-ばく露マトリクスを用いた研究の場合には認められなかった;ALSと医学診断された対象者についての研究では認められたが、死亡証明書に基づく研究では認められなかった、と報告している。
以下の17報の研究をプール分析に含めた:
Deapen他(1986)、
Gunnarsson他(1991)、
Gunnarsson他(1992)、
Strickland他(1996)、
Davanipour他(1997)、
Savitz他(1988a)、
Savitz他(1988b)、
Johansen他(2000)、
Noonan他(2002)、
Feychting他(2003)、
Hakansson他(2003)、
Weisskopf他(2005)、
Park他(2005)、
Röösli他(2007)、
Sorahan他(2007)、
Fang他(2009)、及び
Parlett他(2011)。
研究デザイン、ばく露評価方法及び診断クライテリアを考慮したサブ分析を実施した。これら17報の研究のうち、症例対照研究が9報、コホート研究が8報あった。ばく露レベルを職種に基づいて評価したものが7報、職業‐ばく露マトリクスに基づいたものが5報、両方に基づいたものが5報であった。筋萎縮性側索硬化症の診断に臨床診断を用いたものが6報、その他は死亡証明書を用いた。
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 7,307,441 |
超低周波磁界への職業ばく露は、プール研究(RR 1.29;CI 1.02-1.62)及び症例対照研究(OR 1.39;CI 1.05-1.84)では筋萎縮性側索硬化症のリスク上昇と有意に関連していたが、コホート研究(RR 1.16;CI 0.80-1.69)ではそうではなかった。サブ分析では、ばく露レベルを職種で定義した場合、同様の有意な関連が認められたが、職業‐ばく露マトリクスの場合はそうではなかった。更に、臨床診断された被験者についての研究では有意な関連が認められたが、死亡証明書に基づく被験者についてはそうではなかった。
このデータは、比較的高いレベルの超低周波磁界へのばく露に関連する職種の人々における、僅かだが有意な筋萎縮性側索硬化症のリスク上昇を示唆している。潜在的バイアスは排除できない。観察された筋萎縮性側索硬化症との関連は、磁界ばく露ではなく、電気的職業に関連する電撃またはその他の同定されなかった変数のせいかも知れない。
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