この研究は、50 Hz磁界(MF)ばく露がラットの乳がん形成に影響を与えるか否かを調べる実験に用いるラットの系統を検討し、フィッシャー344ラットを用いた実験を行った。雌のSDラットでの7,12-ジメチルベンズ[a]アントラセン(DMBA)誘発乳がんモデルを使用した研究が、以前からさまざまな研究室で行われたが結論は得られていない。これは、使用されたSD亜系統間におけるMFへの感受性の違いが関連していた。MFばく露が乳腺細胞増殖に与える影響を、さまざまな異系交配および同系交配のラット系統で比較すると、フィッシャー344は、細胞増殖の著しい増加を示した唯一の近交系であった。このデータに基づいてフィッシャー344ラットで実験した。108匹からなるDMBA処理ラットのグループはそれぞれ、MFばく露(100 μT、50 Hz)または擬似ばく露を26週間与えられた。その結果、MFばく露群では乳がん形成が有意に促進された;肉眼的に記録され、組織学的に確認された腺がんの発生率は45 %増加した(P = 0.0095);以上の知見は、フィッシャー344ラットが乳がん形成に対するMFばく露の影響の根底にあるメカニズムを研究するのに適した近交系であることを示している、と報告している。
乳腺における磁界誘導性の細胞増殖の増加についての最近のデータ(publication 13141)に基づき、Fischer 344ラットにおける乳がんの発生及び成長を磁界ばく露が有意に促進するという仮説を検証した(比較のため、Sprague-Dawleyラット及びLewisラットでも幾つかの実験を実施した)。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 24h/day (except time for weighing, cleaning, etc.) on 7 days/week for 26 weeks
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 24h/day (except time for weighing, cleaning, etc.) on 7 days/week for 26 weeks |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 100 µT | effective value | 測定値 | - | - |
磁界ばく露は乳がん発生を有意に促進した:偽ばく露対照と比較して、26週間の磁界ばく露後の雌のFischer 344ラットにおける組織学的に確認した乳腺腫瘍の発生率は31%有意に高かった。肉眼で記録した、組織学的に確認した腺がんの発生率は45%上昇した。
これらのデータは、Fischer 344ラットは、乳がん発生に対する磁界ばく露の影響の根底にあるメカニズムを調査するのに適した近交系であることを示している。
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