研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[60Hz円偏波磁界にはAKRマウスにおけるリンパ腫の自然発生に対するコプロモーション作用はない] med./bio.

Lack of a co-promotion effect of 60 Hz circularly polarized magnetic fields on spontaneous development of lymphoma in AKR mice

掲載誌: Bioelectromagnetics 2010; 31 (2): 130-139

この研究は、AKRマウスに遺伝的にイニシェートされたリンパ腫に対し、60Hz円偏波磁界MF)がプロモータとしての影響をもたらすか否かを調べた。160匹の雌のラットを4群に分けた。4群は、0 μT(擬似対照群)、5μT、83.3μT、または500 μT(それぞれrms値)の60 Hzの円偏波MFばく露を、4 - 6週齢から44 - 46週齢までの間、1日21時間受けた。その結果、平均生存時間、臨床徴候、体重、血液学的検査の測定値、小核アッセイ遺伝子発現アレイアポトーシス分析、および剖検所見において、ばく露に関連した変化は示されなかった;組織病理学的検査において、4群すべてにおいてリンパ腫は確認された;腫瘍発生率は、擬似対照、5、83.3、および500 μT群でそれぞれ、31/40(78 %)、30/40(75 %)、32/40(80 %)、および31/40(78 %)であり、擬似対照群と3つのばく露群の間に差はなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

AKRマウスに遺伝的にイニシエートしたリンパ腫腫瘍プロモータとしての60Hz円偏波磁界によって生じるかも知れない影響を調べること。

詳細情報

AKRマウスはリンパ腫が自然に発生するように遺伝的素因を与えられており、マウスにおける白血病の自然発生と関連しているレトロウィルスAKVが全ての組織発現する。雌のマウス160匹を4群に分けた:1) 偽ばく露、2) 5µばく露、3) 83.3µTばく露、4) 500µTばく露、21時間/日、4-6週齢から44-46週齢まで。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 21 hr/day for 40 weeks
  • 磁束密度: 5 µT effective value (group 2 - expected maximum exposure level under 765 kV power transmission lines)
  • 磁束密度: 83.3 µT effective value (group 3 - guideline level by the International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection at 60 Hz power frequency)
  • 磁束密度: 500 µT effective value (group 4 -2500 times higher than what are humans normally exposed to in the residential environment)

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
偏波
  • circular
ばく露時間 continuous for 21 hr/day for 40 weeks
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 5 µT effective value 測定値 - group 2 - expected maximum exposure level under 765 kV power transmission lines
磁束密度 83.3 µT effective value 測定値 - group 3 - guideline level by the International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection at 60 Hz power frequency
磁束密度 500 µT effective value 測定値 - group 4 -2500 times higher than what are humans normally exposed to in the residential environment

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

平均生存期間、臨床的兆候、体重、血液学的数値、小核アッセイ遺伝子発現アレイアポトーシスの分析、剖検所見には、ばく露に関連した変化はなかった。組織病理学的検査では、全てのグループでリンパ腫が見られた:偽ばく露群と磁界ばく露群(グループ2-4)で、この腫瘍発生率に差はなかった。

著者らは、500µTまでの60Hz円偏波磁界ばく露がAKRマウスにおいてリンパ腫をプロモートすることを示す証拠はない、と結論付けている。

研究の種別:

研究助成

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