この研究は、磁界ががんのプロモータまたはコプロモータとして作用する可能性を試験するために、雌ラットでの7,12-ジメチルベンズ(a)アントラセン(DMBA)誘発性乳房腫瘍の成長に対する磁界の慢性ばく露の影響を調べた。実験はばく露磁界を変えて4回行った。それぞれの実験において、擬似ばく露群とばく露群は、18〜36匹の動物からなり、91日間(24時間/日)のばく露(擬似ばく露)を行った。4回の実験は、一様交流磁界(AC;50Hz、30mT(rms))ばく露実験が2回、勾配交流磁界(勾配AC;50 Hz、0.3-1µTの傾斜がつけられた)ばく露実験が1回、直流磁界(DC;15mT)ばく露実験が1回である。磁界ばく露(擬似ばく露)開始時に、DMBA(5 mg)を経口投与し、その後1週間間隔で同量を3回投与した。その他に、年齢マッチングしたラット群(参照用対照群)は、同じDMBA投与プロトコル処処置をし、磁界ばく露実験室とは別の実験室に置かれた。ばく露期間終了後に剖検して、腫瘍の数および腫瘍の重量またはサイズを測定した。その結果、擬似ばく露対照群および参照用対照群での腫瘍発生率は、4回の実験において50〜78%の間で変動し、腫瘍保有動物当たりの乳房腫瘍の平均数は、1.6〜2.9の間で変動した;いずれの実験においても磁界ばく露は腫瘍発生率を有意に変化させなかったが、30mTの一様ACばく露実験2回の内の1回で、腫瘍保有動物あたりの腫瘍の数が有意に増加した;さらに、15mTのDCばく露実験で、腫瘍重量が有意に増大した;勾配ACばく露では有意な変化は見られなかった、と報告している。
化学物質で誘発したラットの乳がんの成長と増殖に対する、磁界ばく露によって生じる可能性のあるコプロモーション作用を判定すること。ジメチルベンズ(a)アントラセン(DMBA)で発がんを誘発させ、ラットを異なる条件でばく露した。
4つの異なる実験を実施した:
1) 18匹を一様な15mTの直流磁界にばく露した。18匹を偽ばく露し、8匹を対照とした(別の部屋の動物)。
2) 18匹を一様な30mTの交流(50Hz)磁界にばく露した。18匹の2群をそれぞれ偽ばく露または対照に用いた。
3) 実験3は、対照を9匹のみとした以外は実験2に相当。
4) 36匹を0.3-1.0µTの傾斜のある交流(50Hz)磁界にばく露した。また、36匹を偽ばく露した。この実験では対象は用いなかった。
乳がんを誘発する用量のDMBAを対照の約50%のラットに投与した。全てのグループのラットに対し、ばく露または偽ばく露の開始時に、最初のDMBA投与(5㎎)をそれぞれ与えた。DMBAの経口投与を1週間隔で3回反復した。対照を同様に処理した。
周波数 |
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タイプ |
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ばく露時間 | repeated daily exposure, 24 h/day for 91 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Animals were placed in groups of three in plastic cages which were introduced to the coils. |
Additional information | Additional groups of animals were used as reference control. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 15 mT | - | 測定値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | repeated daily exposure, 24 h/day for 91 days. |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 30 mT | effective value | 測定値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | repeated daily exposure, 24 h/day for 91 days. |
Additional information | Gradient magnetic field |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 300 nT | minimum | 測定値 | - | 1 µT max value. |
偽ばく露及び対照の動物では、実施した全ての実験で腫瘍発生率は50-70%の間でばらついていた。どの磁界ばく露も、この腫瘍発生率を変化させなかった。但し、腫瘍の重量は15mTの直流磁界ばく露によって有意に増加した。腫瘍のある動物1匹当たりの腫瘍の数は、交流磁界ばく露によって有意に増加した。0.3-1.0µTの傾斜のある交流磁界ばく露では影響は認められなかった。これらの実験は、磁界が乳がんのコプロモータとして作用し得ることを示している。
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