著者:
Boorman GA, Anderson LE, Morris JE, Sasser LB, Mann PC, Grumbein SL, Hailey JR, McNally A, Sills RC, Haseman JK
掲載誌: Carcinogenesis 1999; 20 (5): 899-904
<目的>磁界ばく露により乳腺腫瘍がプロモートされるという仮説があるが、長期ばく露実験においてその影響は認められていない。DMBAで誘導した乳腺腫瘍が磁界ばく露により促進されるという報告がある。本研究は、ラットのDMBA投与モデルを用いて乳腺腫瘍プロモーションに対する長期間磁界ばく露の影響を調べた。 <対象・方法>SD系雌ラット50日齢、DMBA 10mgを1mlのゴマ油に溶かして実験第1日に投与。表1のように磁界をばく露(18.5時間/日、7日/週、26週)。表2に磁界測定結果を示す。ラットは1週間毎に触診して大きさを記録した。最後に病理解剖。 <結果・結論>体重曲線は図1、担がんラット百分率は図2、1匹あたりの腫瘍数は図3、腫瘍の大きさは図4に示すが、どの群にも有意差はみられない。図5にfibroadenoma、図6にがん腫の組織像を示すが、1G、50Hz及び1G、60Hz群で総がん数が有意に少ない(図7、表3、4)。本実験は磁界が促進作用を有するという仮説を支持しない。 1)5週目で最初の腫瘍が発見された。それぞれの群で腫瘍の発現時期に有意差は見られなかった。2)26週目におけるラット当たりの腫瘍数は、DMBA投与、非ばく露群では6個に比し、ばく露群では4.8から5.6個で有意差はなかった。3)腫瘍の大きさにも差は見られなかった。4)1G 50Hzおよび1G 60Hzばく露群では、がんの発生率が低下していた。
(英文不記載)