著者:
Anderson LE, Boorman GA, Morris JE, Sasser LB, Mann PC, Grumbein SL, Hailey JR, McNally A, Sills RC, Haseman JK
掲載誌: Carcinogenesis 1999; 20 (8): 1615-1620
この研究は、50Hz磁界ばく露が、ラットの化学的誘発性乳がんをプロモートするか否かを実験的に調べた。第1の実験は、 100匹のメスのSprague-Dawleyラットに、7,12-ジメチルベンズアントラセン(DMBA)(週1回5mgを4回強制投与)によるイニシェーションを50日齢から開始した。最初のDMBA投与終了後から、磁界ばく露(または擬似ばく露)が開始された。ばく露条件は、1または5 Gの50 Hz磁界、または1 Gの 60 Hz磁界への18.5時間/日のばく露で、13週間継続した。第2の実験は、 100匹のメスのSprague-Dawleyラットに、低用量DMBA(週1回 2 mgを4回強制投与)によるイニシェーションを50日齢から開始し、最初のDMBA投与終了後から、磁界へのばく露(または擬似ばく露)を開始した。ばく露条件は、1または5 Gの50 Hz磁界への18.5時間/日のばく露で、13週間継続した。それぞれの実験とも、DMBA対照群(磁界擬似ばく露)およびDMBAを含まない溶媒を投与したvehicle対照群との比較を行った。実験中は、毎週、ラットの体重測定し、腫瘍の有無を触診した。また、13週間のばく露終了後に剖検により乳がんの数を数え、組織学的検査を行った。その結果、どちらの実験においても、13週間の実験期間中における体重増加、乳がんの出現時期への磁界ばく露の影響は見られなかった;第1の実験では、組織検査で確認したがんの発生率は、DMBA対照群、1 G/50 Hz群、5 G/50 Hz群、1 G/60 Hz群で、 92、86、96、96%、 乳がんの総数は 691、528 (P < 0. 05で有意に低下)、561、692であった;第2の実験では、がんの発生率は、DMBA対照群、1 G/50 Hz群、5 G/50 Hz群で、 43、48、38%、 乳がんの総数は102、90、79であった;どちらの実験でも、腫瘍サイズ(生存中の触診、剖検での組織検査のいずれによっても)に磁界の影響は見られなかった、と報告している。