この研究は、4人の異なるドナーから採取したヒト末梢血白血球を用いて、3 mTの超低周波磁界(ELF-MF)が遺伝毒性作用および/または共遺伝毒性作用を示すか否かをインビトロで調べた。ELF-MFと2つの突然変異原(N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)および4-ニトロキノリンN-オキシド(4NQO))それぞれとの相互作用の可能性も調べた。一次DNA損傷は、アルカリ単細胞ミクロゲル電気泳動アッセイ(コメットアッセイ)により評価した。別のドナーから採取した細胞(ELF-MFばく露を受けておらず、遺伝毒性物質処理されていない白血球)を対照とした。その結果、3 mT ELF-MF単独では、直接的な一次DNA損傷を引き起こすことができなかった;ELF-MFとMNNGの組み合わせばく露群では、MNNG誘発性のDNA損傷の程度が、擬似ELF-MFばく露群に比べ、ばく露時間とともに増加した;ELF-MFと4NQOの組み合わせばく露群では逆のことが観察された(4NQO誘発DNA損傷の程度が、擬似ばく露群に比べ、いくらか減少した);さらに、ELF-MFばく露群では、擬似ばく露群と比べてGSH濃度の増加が常に観察された; GSH抱合後のMNNGと4NQOの遺伝毒性パターンはまったく異なるため、GSH合成に関与する酵素の活性に対するELF-MFの影響があるとすれば、実験に用いた2つの変異原の異なる活性化/非活性化がもたらされるという仮説が提示される、と報告している。
2つのモデル突然変異原を用いて、超低周波磁界と生体異物:N-メチル-N-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG;0.05µg/ml)及び4-ニトロキノリン-N-オキシド(4NQO;0.8µg/ml)との可能性のある相互作用を調べた。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 30, 60 or 120 min |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Culture tubes (16 mm in diameter, 100 mm in length) were placed in the coils in such a way that the cells were situated within the region of maximum homogeneous MF. Sham exposure took place under the same setup with the coils switched off. Control cultures were set-up simultaneously and run at the same time in separate incubators. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 3 mT | effective value | 測定値 | - | - |
超低周波磁界はMNNG及び4NQOの遺伝毒性活性に異なる様式で影響を及ぼした。MNNGの遺伝毒性はばく露によって有意に強められたが、4NQOの場合は超低周波磁界の存在下で遺伝毒性の低下が認められた。
更に、ばく露した細胞ではグルタチオン濃度の上昇が認められた。グルタチオン結合(2つのグルタチオンからグルタチオンジスルフィドへの酸化)の後、MNNG及び4NQOの遺伝毒性のパターンは全く異なることが知られているので、磁界の存在下で認められたMNNG及び4NQOの遺伝毒性活性における異なる傾向を説明するため、グルタチオンの合成に関与する酵素の活性に対する超低周波磁界の影響力(異なる突然変異原の活性化/不活化につながる)が仮定された。
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