この研究は、静磁界または50Hz磁界へのばく露および既知の酸化剤である塩化第一鉄処理を細胞に同時に与えると、DNA分子の酸化的劣化が変化するという仮説を検証した。DNA損傷はコメットアッセイで評価した。単離ラットリンパ球を、ヘルムホルツコイル(7mTの静磁界または50Hz磁界)内で3時間培養した。細胞は3群に分け、培養中、それぞれ、0.01 muMのH2O2添加、10 mμg/ ml FeCl2添加、無添加(対照群)の処理を行った。その結果、7mTの磁界ばく露のみの場合、コメットアッセイにおいてDNA損傷を受けた細胞の数は増加しなかった;磁界は無ばく露のFeCl2添加群でも、検出可能なDNA損傷は生じなかった:7mTの磁界ばく露およびFeCl2添加群では、DNA損傷細胞の数は有意に増加し、静磁界で約20%、50Hz磁界で約15%増加した;現在のところ、2つの非細胞毒性因子(FeCl2と50Hz磁界)の同時ばく露で得られた今回の実験結果について合理的な説明を提供することは不可能である、と報告している。
周波数 |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 3 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Lymphocyte suspensions were exposed to magnetic field in a small water bath (37°C) which was placed inside the coils. Control samples kept in water bath outside the coil. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 7 mT | unspecified | 測定値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 3 h |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 7 mT | unspecified | 測定値 | - | - |
リンパ球の7mT磁界ばく露は、DNA損傷のある細胞の数を増加させなかった。FeCl2を添加してインキュベートしたリンパ球も、検出可能なDNA損傷を生じなかった。
但し、FeCl2を添加してインキュベートしたリンパ球を、7mT磁界に同時ばく露した場合、損傷した細胞の数は有意に増加した(静磁界では約20%、電力周波数(50Hz)では15%)。対照サンプルでは、97%の細胞にはDNA損傷がなかった。
現時点では、この知見(同時ばく露後のDNA損傷の症状を示すリンパ球の数の増加)の合理的な説明を提示することはできない。著者らは、FeCl2と静磁界または50Hz磁界への同時ばく露の影響下では、鉄の陽イオンによって生じる活性酸素種の数が相当増加するかも知れない、という仮説を提唱している。
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