<目的>電界と磁界への職業曝露と神経系腫瘍のリスクとの相関についてこれまでに出された29の研究結果を共分析し、曝露影響の全体的な推定値を求めるのではなく、研究間でのリスク推定値の違いの理由を検討し、研究結果に認められるリスクのパターンを探究することを目的とした。<方法>電磁界曝露と中枢神経系腫瘍のリスクに関する52の研究から、未公表の研究又は予備研究を除き、特定の曝露や疾病に限定されない定量的な情報が報告されており、ピアレビュー付きの英語の学会誌に報告されている29のオリジナルな研究を選定した(表1)。研究の性格として国、終了時期、公表時期、研究計画、設定した仮説、対照集団、バイアス、電磁界強度、交絡因子の数その他など15項目と、更に二人の独立した疫学研究者が独自に研究計画の妥当性について行った評価にスコアを付け、これらに基づいて回帰分析を行い、又モデリングによって、リスクのパターンを求めた。<結果>殆どの研究では、異質性があったにも係わらず、広義の電気的職業について、職場での磁界曝露に関連して脳腫瘍の有意であるが小さなリスクの増加があることが示された。特定の職業では、脳膠腫のリスクがより高いことが認められた。研究に存在する可能性のあるバイアスは互いに相殺され、全体としての危険比には大きな影響は及ぼさないと考えられた。しかし、曝露とリスクとの量的な関係の明らかなパターンが見られないことと、妥当な曝露情報が得られていないことから、この結果では電磁界曝露と脳腫瘍のリスクとの間に相関があると結論することはできないとしている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。