この研究は、居住環境および職場環境での磁界ばく露が成人脳腫瘍のリスクを上昇させるか否かを調べた症例対照研究である。職業ばく露マトリックスからのデータも評価された。このコホート内症例対照研究の調査対象集団は、1980年または1986-1996年のいずれかの期間に高圧送電線沿線の帯状地域に居住していた16歳以上の対象者で構成された。症例は、1980-96年に診断された新規症例で、この症例1人に対し2人の対照が、出生年、性別、市区町村、およびコホート加入年をマッチさせて選出された。1967年1月1日から診断日までのばく露追跡のために、電力線から発生する住宅内磁界への時間加重平均ばく露が計算された。さらに、職名と産業部門は、バックグラウンドレベル(0.1 μT)を超える磁界ばく露があった週あたりの時間数のカテゴリで分類された。ばく露は、1955年1月1日から診断日までのばく露追跡のために、職業的に活動していた年数にわたって累積された。その結果、居住環境磁界ばく露については、上位2つの時間加重平均磁界カテゴリで、全脳腫瘍のオッズ比(OR)が上昇した(OR = 1.6; 95 %信頼区間; 0.9-2.7およびOR = 1.3; 95 %CI 0.7-2.3);職業ばく露については、どの職場でのばく露も関連を示さなかった、と報告している。
本研究人口には、高圧電力線の周囲の回廊(33-420kV、40-300m)内に住むノルウェーの成人全員が含まれた。居住環境ばく露は、電力線から生じる磁界の時間加重平均として計算した。職業ばく露は以下のように評価した:バックグラウンドレベル(0.1 µT)を超える磁界内での週当たりの時間のカテゴリーに職業を分類し、その職業での労働年数で乗じた。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | ばく露なし |
集団 2 | 居住環境磁界:< 0.05 µT |
集団 3 | 居住環境磁界:0.05 - 0.19 µT |
集団 4 | 居住環境磁界:≥ 0.20 µT |
集団 5 | 職業磁界:< 18(職業ばく露カテゴリー‐年) |
集団 6 | 職業磁界:18 - 30(職業ばく露カテゴリー‐年) |
集団 7 | 職業磁界:≥ 31(職業ばく露カテゴリー‐年) |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 454 | 908 |
症例の90%及び対照の92%が、0.05µT(バックグラウンドレベル)未満の磁界に居住環境でばく露されていた。
磁界への居住環境ばく露と脳腫瘍について、統計的に有意ではない、ほどほどのリスク上昇が認められた。但し、明確なばく露量‐反応パターンは認められなかった。磁界への職業ばく露は、脳腫瘍のリスクに対する逆の関連を示した。
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