研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[電磁界ばく露が介在するDNA修復率の低下及び熱誘発性アポトーシスからの防御の低下] med./bio.

Decreased DNA repair rates and protection from heat induced apoptosis mediated by electromagnetic field exposure

掲載誌: Bioelectromagnetics 2002; 23 (2): 106-112

この研究は、増殖中のHL-60、HL-60R、およびRaji細胞株に、0.15 mTの60 Hz 正弦波磁界を、様々なばく露時間で与え、熱誘導アポトーシスに対する細胞の防御作用を評価した。アポトーシス誘導は、中性コメットアッセイにより分析した。防御作用の持続時間は、細胞をEMF下で24時間増殖させ、その後、熱ショックが生じる前にEMFを除去して24〜48時間おいた後に、中性コメットアッセイを実施して調べた。その結果、12時間のEMFばく露で、有意なアポトーシス防御が生じた(HL-60およびHL-60RについてはP < .0001、Raji細胞についてはP < .005);この防御作用はEMF除去後、最大48時間持続した、と報告している。また、別の実験として、DNA修復率に対するEMFの影響を調べた。上記と同じ細胞株を用い、同様の磁界ばく露を24時間与えた細胞と無ばく露細胞にH2O2による損傷を与え、0または15 分後にアルカリコメットアッセイを実施した。その結果、15分の修復時間中のDNA修復率は、HL-60およびHL-60R細胞株では EMFばく露群で有意に低下し、Raji細胞株では低下しなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

ヒトの細胞株でのDNA修復及びアポトーシスに対する超低周波電磁界の影響を イン・ビトロで調査すること。

詳細情報

異なる3つのヒトがん細胞株で、DNA損傷をH2O2で、アポトーシスを熱ショック(43℃)で誘導して調査した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: 4, 12 and 24 h

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 4, 12 and 24 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
チャンバの詳細 25ml cell culture flasks
ばく露装置の詳細 inner diameter of the coil 14 cm; height 10 cm; flasks with cell cultures placed in the center of the coil perpendicular to MF
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 150 µT peak 計算値 - +/- 0.02 mT
電力 120 W - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露された細胞と偽ばく露細胞で、細胞増殖に有意差は認められなかった。
ばく露は3つの細胞株全てにおいて、熱誘発性のアポトーシスからの時間依存性の防御を生じた。
ばく露されたHL-60及びLH-60R細胞株のDNA修復率は有意に低下した。ばく露されたRaji細胞と偽ばく露細胞ではDNA修復に有意差は認められなかった。

研究の種別:

研究助成

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