この研究は、酸化ストレス(H2O2処理)を与えられた細胞に誘導されるアポトーシスに対する超低周波電磁界ELF-EMF(0-300 Hz)ばく露の影響を調べた。また、この影響と熱ショックタンパク質70(hsp70)レベルとの関係も調べた。K562ヒト白血病細胞株の一方のサンプルはH2O2処理され、もう一方のサンプルは未処理のままにした。両方の細胞にELF-EMF(1 mT、50 Hz)の3時間ばく露を与えたのち、アポトーシス細胞の数、hsp70と活性酸素種(ROS)のレベルを計測した。その結果、ELF-EMF単独ばく露の場合、アポトーシス細胞の数が減少し、生存率がわずかに上昇した;H2O2処理細胞へのELF-EMFばく露の場合、アポトーシス細胞の数が増加した;一方、ELF-EMばく露により、hsp70と活性酸素種(ROS)レベルは上昇した;以上の知見は、ELF-EMFの効果が細胞の状態に依存することを示しており、酸化ストレスのない細胞では、hspレベルの増加を誘導することでアポトーシス細胞の数を減少させ、酸化ストレス誘発細胞ではアポトーシス細胞の数を上昇させることが示された、と報告している。
酸化ストレス(ばく露開始時に過酸化水素で誘導)にさらした/さらさなかったK562細胞株のアポトーシス細胞の数に対する、超低周波電磁界の影響を調べ、そのデータを熱ショックタンパク質及び活性酸素種のレベルと相関させること。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 3 hr
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cells were treated in four groups: i) control ii) EMF expsoure iii) H2O2 treatment iv) H2O2 treatment + EMF exposure
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 3 hr |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | two 10 cm high solenoids with a diameter of 25 cm and 400 turns of copper wire each connected in series; cells kept in a 20 cm x 15 cm x 10 cm plastic chamber with constant temperature during exposure; |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | 測定値 | - | - |
K562細胞を過酸化水素で単独処理したところ、アポトーシス細胞の比率は約70%増加し、細胞の生存能力は低下した。過酸化水素で処理した細胞を超低周波電磁界にばく露したところ、アポトーシス細胞の数の更なる増加が認められた。このことは、電磁界が共ストレス因子として作用したことを示している。同様に、超低周波電磁界ばく露は、過酸化水素で処理した細胞の生存能力に僅かな低下を生じた。
電磁界ばく露細胞では(対照と比較して)活性酸素種のレベルに30%上昇が認められた。この上昇は、過酸化水素単独で誘導した上昇よりも大きかった。電磁界ばく露は、過酸化水素で単独処理した細胞における活性酸素種のレベルに、過酸化水素単独処理と比較して僅かな上昇を生じた(但し、この上昇は電磁界単独で生じたものより高くなかった)。これらのデータは、超低周波電磁界ばく露は過酸化水素と相乗的には作用しなかったことを示している。
加えて、過酸化水素で処理した細胞への超低周波電磁界ばく露により、過酸化水素で単独処理した細胞と比較して、hsp70の発現の有意な上昇が認められた。但し、電磁界に単独ばく露した細胞と比較して統計的に有意ではなかった。
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