この研究は、超低周波磁界(60 Hz、5 mT)へのばく露が、過酸化水素(H2O2)によるヒト白血病HL-60細胞の細胞死に影響するか否かを調べた。細胞は、超低周波磁界へのばく露の有無にかかわらず、H2O2で処理した。生存細胞、アポトーシス細胞および壊死細胞は、アネキシンVフローサイトメトリーアッセイによって測定した。アポトーシス関連タンパク質(カスパーゼ-3、カスパーゼ-7、Bcl-2およびBax)およびポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼのレベルは、ウエスタンブロット法によって測定した。その結果、磁界およびH2O2(85または100 μM)への24時間同時ばく露の場合、H2O2単独の場合に比べ、アポトーシス細胞および壊死細胞の数が有意の増加し、生存細胞の数が有意に減少した; BaxおよびBcl-2のタンパク質レベルは、H2O2単独ばく露群とH2O2および磁界の同時ばく露群の間に有意差はなかった;磁界ばく露は、H2O2で誘発されたカスパーゼ3活性化にも影響しなかった;しかし、磁界とH2O2に同時に2時間および8時間ばく露した場合、細胞の活性カスパーゼ-7のタンパク質レベルは、H2O2単独のそれよりも高かった;磁界とH2O2への同時ばく露は、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼの切断を引き起こし、2時間で早期の不活性化を引き起こしたが、H2O2単独処理の場合、4時間までにこのような影響は起きなかった、と報告している。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous for 24 h
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磁界ばく露とH2O2(85または100µM)での24時間の同時処理は、H2O2で単独処理した細胞と比較して、アポトーシス及びネクローシス細胞の数を有意に増加させ、生存能力のある細胞の数を有意に減少させた。H2O2で処理した細胞と、H2O2及び磁界の両方で処理した細胞では、Bax及びBcl-2のタンパク質レベルに差は認められなかった。磁界ばく露には、H2O2で生じさせたカスパーゼ-3活性化に対する影響もなかった。但し、磁界及びH2O2に2及び8時間同時ばく露した細胞における活性のあるカスパーゼ-7のタンパク質レベルは、H2O2で単独処理した細胞よりも高かった。加えて、磁界及びH2O2への同時ばく露は、PARPカバレージを生じ、2時間で早期の不活性化を生じた。H2O2単独処理では、4時間までこの影響を生じなかった。
この結果は、磁界それ自体はアポトーシス及びネクローシスを生じることはできないが、H2O2によって生じた細胞死に対するプロモーション作用を生じることを示唆している。これは、カスパーゼ-7ならびにPARPがこのプロセスに関与しているかも知れないことを示している。
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