研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[低周波磁界へのDaudi細胞のばく露はMYCの定常状態のmRNAレベルを高めない] med./bio.

Exposure of Daudi cells to low-frequency magnetic fields does not elevate MYC steady-state mRNA levels

掲載誌: Radiat Res 2000; 153 (5) Pt 2: 663-669

この研究は、低周波磁界ばく露によるDaudi細胞でのMYC遺伝子発現への影響を調べた。ばく露に用いた60 Hz磁界は、磁束密度12、50、100、または500μT、ばく露時間20、40、または60分間とした。偽陽性に寄与する可能性のある変数を最小とするため、ELF-EMFばく露施設(メリーランド州ロックビル)でばく露実験を実施した。ばく露は、擬似/擬似、ばく露/擬似または擬似/ばく露露で、ブラインド化して実施された。12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート(TPA)処理を陽性対照に用いた。全細胞RNAをシングルステップ法により単離した。Daudi細胞の応答性の指標として、ヒトMYC発現をノーザンブロットハイブリダイゼーションにより測定した。β-2-マイクログロブリン(B2M)の発現を内部対照として同時に測定した。その結果、60 Hz磁界ばく露は、いずれのばく露条件下でもDaudi細胞におけるMYC発現を有意に変化させなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

Epstein-Barrウイルス(EBV)陽性のDaudi細胞における myc 遺伝子発現に対する超低周波磁界の影響を調査すること。

詳細情報

陽性対照はTPA処理細胞で実施した。
EBV陽性Daudi細胞は、磁界ばく露とウィルス感染とのつながりがあるかどうかを調査するための細胞株として選ばれた。一部の研究者は、myc 発現についての相反する研究結果はEBV感染の有無によって説明できるかもしれないと示唆している。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: 20, 40 or 60 min

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 20, 40 or 60 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
チャンバの詳細 inner exposure chamber 30 cm x 30 cm x 30 cm, double-walled, located within the coil system, insulated and foil-lined to shield from stray electric fields
ばく露装置の詳細 two Merritt coil sets nested into each other; the coils with 56 and 80 cm per side
Sham exposure A sham exposure was conducted.
Additional information two additional Helmholtz coils, 90 cm per side each, for the horizontally directed field
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 500 µT maximum 測定値 - -
磁束密度 100 µT - 測定値 - -
磁束密度 50 µT - 測定値 - -
磁束密度 12.5 µT - 測定値 - -

Reference articles

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

60Hz磁界ばく露は、いずれのばく露条件でも、Daudi細胞の myc 遺伝子発現を有意に変化させなかった。
電磁界ばく露に対する細胞の遺伝子発現の感受性においてEBV感染状態が役割を担っている、という仮説に対する支持は認められなかった。

研究の種別:

研究助成

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