この研究は、著者らの仮説(著者らは電磁界応答要素(EMRE: electromagnetic field response elements)なるものを提唱しており、nCTCTn配列はEMREの1つであると報告している)を検証する目的で、EMREを導入された細胞が、電磁界への応答能力を持つか否かを調べた。c-mycプロモータの900 bpセグメント(8つのEMREを含むという)を、本来は電磁界応答性を持たないCATまたはルシフェラーゼレポータコンストラクトの上流に配置した。このEMREレポータコンストラクトを導入されたHeLa細胞に、8 μTの60 Hz磁界ばく露を与えた。その結果、ばく露群の細胞からのタンパク質抽出物は、擬似ばく露群の細胞からのものに比べ、CATおよびルシフェラーゼの両方の活性の有意な増加を示した;EMREを欠いたCATまたはルシフェラーゼコンストラクトを導入された細胞は、電磁界に応答しなかった(すなわち、CATまたはルシフェラーゼ活性のどちらも増加しなかった)、と報告している。
遺伝子の「オン」「オフ」切替は、遺伝子治療の有益なツールとなる。本研究では、磁界に敏感なDNA配列の挿入によって酵素活性を増大させる可能性を調査した。
シトシン及びチミンからなるプロモータ配列は、いわゆる「電磁界応答要素(EMRE)」として作用するようである。これらのEMREを含む、c-myc プロモータの900塩基対のセグメントを、電磁界にあまり応答しないカタラーゼまたはルシフェラーゼの構築中にクローンした。これらの構造をHeLa細胞に形質移入した。
30分間のばく露後に酵素活性を30分間測定した。以下の5群を調べた:1) ばく露した形質移入HeLa細胞、2) 偽ばく露した形質移入HeLa細胞、3) ばく露した形質移入HeLa細胞、但しEMREを含むc-myc プロモータの900塩基対なし、4) 陰性対照としての非特異的なタンパク質サンプル、5) 陽性対照としての43℃の熱ショックを与えたHeLa細胞。
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 30 minutes |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | cells in a Plexiglas stand in horizontal position; Helmholtz coils consisted of 19 gauge wire bundles, wound in 164 rectangular turns around a rectangular form (13 x 14 cm) with 8 cm spacing; coils were closed within mu-metal containers for shielding (30 cm high, 15 cm diameter cylindrical container) |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
60Hz磁界にばく露した形質移入細胞(グループ1)は、偽ばく露した形質移入細胞(グループ2)と比較して、カタラーゼ及びルシフェラーゼの酵素活性の有意な増加を示したが、EMREを含むc-myc プロモータのない形質移入細胞(グループ3)では、酵素活性の増加は認められなかった。
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