この研究は、細胞レベルでの60Hzの磁界(MF)作用により、新生物形質転換をもたらし得るような遺伝子発現変化が生じるという仮説を検討した。その結果、 200 μTのMFの24時間連続ばく露は、ばく露後の化学的プロモーターへのばく露の有無にかかわらず、2つの標準的形質転換系(シリアンハムスター胚細胞およびC3H / 10T1 / 2マウス線維芽細胞)において、陰性の結果となった;これは、ヒトHL60細胞での遺伝子発現のMF誘発性変化を報告した先行研究の再評価が必要なことを示すものである;より広範な試験を、コード化分析および非コード化分析の両方を使用して実施したが、MF効果は陰性であった;MFのプロモータとしての役割についても、形質転換の実験と同じばく露条件で試験したが、C3H / 10T1 / 2細胞においてオルニチンデカルボキシラーゼ発現のMF誘発性変化は観察されなかった、と報告している。
C3H 10T1/2マウス線維芽細胞及びシリアンハムスター胚(SHE)細胞における形質転換を調べた。
HL-60細胞を用いて、c-myc、c-fos、β-アクチン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子発現を判定した。C3H 10T1/2細胞でオルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子発現を調べた。
SHEまたはC3H 10T1/2細胞の陽性形質転換応答として、1.5Gyのガンマ線照射を用いた。
HL-60細胞における c-myc 及び c-fos の遺伝子発現、ならびにC3H 10T1/2細胞におけるオルニチンデカルボキシラーゼの遺伝子発現の陽性対照は、ハイパーサーミア(45.5℃)及びTPAで処理した細胞とした。
1.5 Gy of X-ray was used to elicit a positive transformation response in SHE or CH3/10T1/2 cells and as negative control for c-fos expression in HL60 cells. Hyperthermia at 45.5°C for 9 min and TPA at 0.3 µg/ml for 30 min or 50 ng/ml for 3 h were used as treatments modifying the expression of c-myc, c-fos and ODC.
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 10 , 20 and 40 min |
Additional information | HL60 cells were exposed. Reference Article: Little JB, Nagasawa H, Kennedy AR. DNA repair and malignant transformation : effect of X radiation , 12-O-tetradecanoyl-phorbol-13-acetate, and protease inhibitors on transformation and sister-chromatid exchanges in mause 10 T1/2 cells. |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | water bath insulated with styrofoam ( 1.2 m long, 0.7 m wide, 11 cm deep) maintained at 37°C. |
ばく露装置の詳細 | solenoids, 38.7 cm long, 12 cm in diameter, 199 turns; tissue culture flasks were placed horizontally in the central planes of long solenoids wound on thin-walled plexiglas cylinders enclosed in magnetic shield cylinders (22.9 cm in diameter), all of them were placed parallel to each other in water bath; cells were parallel to the field lines which was uniform along the 18 cm long central plane. |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | Control cells experienced zero magnetic field but were subjected to the same level of disturbance such as local acoustic noise and convective heating. |
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 24 h |
Additional information | C3H/10T1/2 cells and SHE cells were exposed |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 200 µT | unspecified | 測定値 | unspecified | - |
60Hz磁界にばく露されたSHE細胞には、形質転換したコロニーは認められなかった。
ばく露/偽ばく露されたC3H 10T1/2細胞には、コロニー形成率に有意差はなかった。TPAでのインキュベーションは、1.5Gyのガンマ線照射によって誘導した形質転換を強めた。磁界単独ばく露/偽ばく露された細胞におけるTPAインキュベーションには影響はなかった。
60Hz磁界ばく露はオルニチンデカルボキシラーゼの遺伝子発現に影響しなかったが、TPA処理はばく露/偽ばく露されたSHE細胞でのオルニチンデカルボキシラーゼの転写レベルを高めた。
60Hz磁界にばく露されたHL-60細胞では、遺伝子発現に対する統計的に有意な影響は認められなかった。
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