研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と皮膚がんのリスク:デンマークでの全国コホート研究] epidem.

Mobile Phone Use and the Risk of Skin Cancer: A Nationwide Cohort Study in Denmark

掲載誌: Am J Epidemiol 2013; 178 (2): 190-197

この研究は、デンマークで実施された全国規模のコホート研究で、1987-1995年間の個人の携帯電話加入者355701人を2007年まで追跡調査して、黒色腫基底細胞がん扁平上皮がん発生率比(IRR)を算出した。IRRの算出にはポアソン回帰モデルを用い、年齢、カレンダー期間、教育レベル、および収入を調整した。さらに潜在的な交絡因子に対処するため、頭頸部の腫瘍と胴体/脚部の腫瘍について個々のIRRを比較した(IRR比)。その結果、頭頸部の基底細胞がん扁平上皮がん、または黒色腫の全般的なリスク上昇は観察されなかった;少なくとも13年間の追跡期間を終えて、基底細胞がんおよび扁平上皮がんのIRRはほぼ1のままであった;男性では、最低13年間追跡における頭頸部メラノーマのIRRは1.20(95 %信頼区間(CI):0.65-2.22)であったが、胴体/脚部メラノーマのIRRは1.16(95 %CI:0.91-1.47)で、IRR比は1.04となった(95 %CI:0.54-2.00);同様のリスクパターンが女性においても見られたが、それは少数に基づいていた;知見を総括すると、この大規模な人口ベースコホート研究で、携帯電話ユーザにおける皮膚がんリスク上昇の証拠はほとんど観察されなかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

デンマークにおける全国規模のコホート研究で、1990-2007年までの私的な携帯電話加入者の携帯電話使用と皮膚がんリスクとの関連を調査した。

詳細情報

身体の全ての部位に等しく影響する、感受性及び行動学的要因等の更なる潜在的交絡因子に対処するため、頭頸部の皮膚と胴体または脚の皮膚について、発生率比を個別に比較した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (発生率比)

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非加入者
集団 2 加入者
集団 3 加入者:加入期間1-4年
集団 4 加入者:加入期間5-9年
集団 5 加入者:加入期間10-12年
集団 6 加入者:加入期間 ≥ 13年

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 355,701
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

私的な携帯電話加入者では、頭頸部の基底細胞がん扁平上皮がん、または黒色腫についての全体的なリスク上昇は認められなかった。
少なくとも13年のフォローアップ期間(グループ6)後、基底細胞がん及び扁平上皮がんについての発生率比はほぼ1のままであった。男性では、少なくとも13年間のフォローアップ(グループ6)後の頭頸部の黒色腫についての発生率比は1.20(CI 0.65-2.22)、これに対応する胴体及び脚についての発生率比は1.16(CI 0.91-1.47)で、両方についての発生率比は1.04(CI 0.54-2.00)となった。女性についても同様のリスクのパターンが認められたが、これは少ない数に基づいていた。
著者らは、この大規模な人口ベースコホート研究では、携帯電話ユーザーにおける皮膚がんリスク上昇の証拠はほとんど認められなかった、と結論付けた。

研究助成

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