研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[60Hzの変動磁界への反復ばく露はヒトの細胞でDNA二本鎖切断及びアポトーシスを生じる] med./bio.

Repetitive exposure to a 60-Hz time-varying magnetic field induces DNA double-strand breaks and apoptosis in human cells

掲載誌: Biochem Biophys Res Commun 2010; 400 (4): 739-744

この研究は、ヒトの正常細胞およびがん細胞に対する超低周波磁界MF)の影響を調べた。結果として、6mTの60 Hz時間変動MFへの30分間の単回ばく露は影響を与えなかったが、それの反復ばく露細胞生存率を低下させた;この低下は、一般的なDNA二本鎖切断(DSB)マーカであるγ-H2AX、およびDNA損傷チェックポイント経路のチェックポイントキナーゼ2(Chk2)のリン酸化を伴った;さらに、6 mTの時変MFへの24時間ごとの30分間ばく露を3日間繰り返した場合、p38が活性化され、がん細胞および正常細胞アポトーシス誘導された、と報告している。

研究目的(著者による)

ヒト初代線維芽腫細胞及びがん細胞に対する60Hz磁界への単回または反復ばく露生物学的影響及び潜在的遺伝毒性を調べること。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: continuous for up to 60 min
single exposure
  • 磁束密度: 6 mT (at a distance of 5 cm between magnets and cell culture plates)
ばく露2: 60 Hz
ばく露時間: continuous for 30 min/day on 3 days
repeated exposure

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for up to 60 min
Additional information single exposure
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 4 magnets
ばく露装置の詳細 four permanent magnets forming a plate with a diameter of 15 cm that could move up and down along a spindle so that the distance between the bottom and the magnets varied up to 12 cm; the maximum rotation speed was 1800 rpm; culture plates placed on the bottom of the exposure device which was placed inside an incubator
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 6 mT - 測定値 - at a distance of 5 cm between magnets and cell culture plates

ばく露2

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 30 min/day on 3 days
Additional information repeated exposure
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 3 mT - 測定値 - -
磁束密度 6 mT - 測定値 - at a distance of 5 cm between magnets and cell culture plates

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

60Hz磁界(6mT)への単回ばく露はどちらの種類の細胞の生存能力にも影響しなかったが、DNA二本鎖切断誘導死、DNA損傷チェックポイント経路を活性化させた(リン酸チェックポイントキナーゼ2の発現)。

但し、60Hz磁界への反復ばく露細胞の生存能力を低下させた(IMR90細胞はHeLa細胞よりも敏感であった)。更に、ばく露持続的なp38MAPKリン酸化及びカスパーゼ依存性アポトーシス、ならびにDNA二本鎖切断を生じた。

結論として、これらのデータは、60Hz磁界への日常的または反復的なばく露はヒトの正常細胞及びがん細胞に対する潜在的遺伝毒性作用を有することを示唆している。ゆえに、数mTの超低周波磁界健康リスクを更に評価すべきである。

研究の種別:

研究助成

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