この研究は、インビトロで、着床前マウス胚におけるDNA損傷に対する50 Hz電磁界(EMF)の影響を、DNA二本鎖切断(DSB)検出の新しい高感度指標であるγH2AX病巣形成を用いて調べた。その結果、EMFにより、着床前マウス胚の卵割率低下が示された;このようなEMFの効果は、着床前マウス胚におけるγH2AX病巣形成の誘導により示されたDNA損傷効果に関連した;EMFによるγH2AX病巣形成の誘導効果は、ノイズ磁界またはワートマニン(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)ファミリーの阻害剤)の処置によって阻害される可能性が示された;さらに、EMFは、DNA損傷部位に修復因子Rad50を動員することにより、DNA損傷修復メカニズムを活性化する可能性も示された、と報告している。
リン酸化ヒストンH2AX(ガンマH2AX)フォーカス形成は、DNA損傷、特にDNA二本鎖切断を検出する高感度の指標である。更なる調査では、ガンマH2AXフォーカス形成と、ワートマニン(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)ファミリー阻害剤)、Rad50(DNA損傷修復因子)及びノイズ磁界との間の干渉に焦点が当てられた。
マウス胚を2細胞(n=40)及び8細胞(n=30)胚の2群で調べた。各々の実験で、2細胞群の胚80個または8細胞群の胚60個を用いた。全ての実験を少なくとも3回繰り返した。
メチルニトロニトロソグアニジン(MNNG)処理胚を陽性対照とした。
The experiments were conducted in 9 treatment groups with 4 dishes in each group: 1) sham exposure, 2) 0.3 mT EMF for 24 h, 3) 0.3 mT EMF for 48 h, 4) 0.5 mT EMF for 24 h, 5) 0.5 mT EMF for 48 h, 6) pretreated with 200 µM wortmannin for 30 min and 0.5 mT EMF for 24 h; 7) 0.5 mT EMF for 24 h and no exposure for another 24 h; 8) 0.5 mT noise MF alone for 24 h, 9) 0.5 mT EMF and 0.5 mT noise MF for 24 h.
In each experiment, 80 embryos in 2-cell group or 60 embryos in 8-cell group were used.
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 24 h |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | The coil system generated highly uniform magnetic fields in the center of a 10 X 10 X 10 cm cube where well plates containing 30 embryos (8-cell embryos groups) or 40 embryos (2-cell embryos groups) were located. The plates were placed coaxially with the centerline in the central area of the coils, and the EMF was perpendicular to the plates. The sham exposure system was the same as exposure system but without current or signal input. |
Additional information | To generate a noise MF, the above system was double-wrapped with two lines of copper wire. One of the double wires was provided with a 30-90 Hz white noise signal while the other one was excited in the same way as in the experiment with MF alone to get a combined MF and noise exposure. For positive control, embryos were treated with MNNG (N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine). |
データは、着床前のマウス胚の開裂速度が磁界に依存して低下することを示した。ばく露した胚ではガンマH2AXフォーカス形成が有意に増加した。ガンマH2AXフォーカス形成に対する電磁界の誘導作用は、ノイズ磁界またはワートマニン処理によって阻害できた。データは更に、電磁界が修復因子Rad50を補充することで、DNA修復メカニズムを活性化し得ることも示した。
これらの知見は、電磁界が着床前の胚においてイン・ビトロでDNA損傷を生じ得ること、及び、胚発生に対する電磁界の悪影響は少なくとも部分的にはDNA損傷を通じて作用し得ることを示唆している。
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