6 mT、60 Hzの傾斜電磁界へのヒトの正常な細胞及びがん細胞のばく露が遺伝毒性を生じることが、先行研究で示されていることから、この研究は、一様な電磁界の影響を調べた。6 mT、60 Hzの一様な電磁界への単回または反復ばく露は、HeLa細胞及び初代IMR-90線維芽腫細胞にDNA損傷を誘導せず、細胞の生存能力にも影響しなかったが、これらの細胞を連続ばく露したところ、細胞増殖が促進された。継代培養による合計168時間のばく露後、細胞の生存能力は、HeLa細胞で24.4%、IMR-90細胞で15.2%上昇した。細胞増殖の増加は、電磁界強度及びばく露時間と直接相関していた。電磁界ばく露なしで更にインキュベートしたところ、細胞増殖は非ばく露細胞のレベルまで減速したことから、増殖効果は可逆的であることが示唆された。細胞周期マーカーの発現は、電磁界に連続ばく露細胞で増加したが、細胞周期の各段階にある細胞の分布は変化しなかった。とりわけ、電磁界にばく露した細胞では細胞内の活性酸素種のレベル低下、ならびにAkt及びErk1/2のリン酸化の増加が認められ、細胞増殖の増加において細胞内の活性酸素種のレベル低下が役割を担っていることが示唆された。これらの結果は、超低周波(ELF)電磁界の一様性が、細胞への影響における重要なファクターであることを示している、と著者らは結論付けている。
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