研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[50Hz磁界にばく露したヒト内皮細胞の遺伝子発現プロファイルは候補遺伝子の調整を生じない] med./bio.

Gene expression profiling of human endothelial cells exposed to 50-Hz magnetic fields fails to produce regulated candidate genes

掲載誌: Cell Stress Chaperones 2006; 11 (3): 227-232

この研究は、さまざまな強度の50 Hzの磁界MF)にばく露されたヒト血管内皮細胞の初代培養細胞における遺伝子発現分析を行った。ばく露プロトコルは、単一の強度(10および700 μT)での連続的ばく露、単一の強度(700 μT)での断続的ばく露、変動する強度(10 - 30 μT)での連続的ばく露であった。細胞の転写応答は、最大30 000のユニークな遺伝子セットを網羅したオリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いて調べた。その結果、それぞれの実験において、発現がMFばく露の影響を受けたように見える遺伝子が同定されたが、これらの遺伝子のいずれも、その後の反復実験で同じ発現変化を起こさなかった;これらの知見は、 50 HzのMFが生物システムと相互作用することができず、したがって内皮ストレス因子として働かないという証拠を強めた、と報告している。

研究目的(著者による)

50Hz磁界によって生じるかも知れない生体系に対する影響についての疑問に対処するため、様々な強度の磁界ばく露したヒト初代血管内皮細胞について、遺伝子発現分析を実施した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 24 h
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: 60 min on - 30 min off for 24 h
ばく露3: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 24 h
ばく露4: 50 Hz
ばく露時間: intensity changed every 30 min for 3 h - left at the same intensity for 12 h - intensity changed every 30 min for 9 h

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 24 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 µT - 測定値 - -

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 60 min on - 30 min off for 24 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 700 µT - 測定値 - -

ばく露3

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 24 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 700 µT - 測定値 - -

ばく露4

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 intensity changed every 30 min for 3 h - left at the same intensity for 12 h - intensity changed every 30 min for 9 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 µT minimum 測定値 - -
磁束密度 30 µT maximum 測定値 - -

Reference articles

  • Henderson B et al. (2003): [50Hz磁界にばく露したマウスにおける動静脈バイパス再狭窄の進行]
  • Henderson BR et al. (2003): [イン・ビトロでのヒト内皮細胞における熱ショックタンパク質60の発現レベルは50Hz磁界ばく露の影響を受けない]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

個別の実験では、ばく露によって発現が影響されたように見える遺伝子が同定されたが、これらの遺伝子はいずれも、その後の反復実験では同じ様式で制御されなかった。いずれの遺伝子にも、再現可能な磁界の影響がないことは、50Hz磁界には生体系と相互作用する能力はなく、内皮ストレス因子の代表ではない、という証拠に更に重みを与えている。

研究の種別:

研究助成

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