この研究は、マウス骨髄(MBM)由来の前単球およびマクロファージに50 Hz、1 mTの磁界ばく露を与え、細胞でのフリーラジカル生成への影響を調べた。その結果、ELF-MFへのばく露後、フリーラジカル生成は有意に増加した;主にスーパーオキシドアニオンラジカルが生成され、MBMマクロファージで33 %、それらの前駆細胞で24 %であった。そこで、MF相互作用の標的タンパク質がNADPH-またはNADH-オキシダーゼ機能であるか否かを明らかにするため、フラボタンパク質阻害剤(塩化ジフェニレンヨードニウム(DPI))を用いた実験を行なった。その結果、DPI はMF誘発フリーラジカル生成を阻害しなかったが、テトラデカノイルホルボルアセテート(TPA)誘発フリーラジカル生成は約70 %低下させた。TPAは、PKC経路を介してNADPHオキシダーゼの直接的な活性化を誘導すること、DPIにはMFばく露MBM細胞で阻害効果がないことを考え合わせると、50 Hz MFはNADHオキシダーゼ経路を刺激してスーパーオキシドアニオンラジカルを生成し、NADPH経路は刺激しないことが示唆された、と報告している。
LPS(リポ多糖類;分化したマクロファージとその一酸化窒素産出に対する磁界の影響力を調べるため;LPSは一酸化窒素合成を活性化させる)及びTPA(テトラデカノイルホルボールアセタート;TPAはNADPH-オキシダーゼの直接的な活性化を生じることが知られている)を陽性対照に用いた。
NAD(P)H-オキシダーゼ等の酵素は、マクロファージにおける主なフリーラジカル(ROS)産出に介在している。著者らは、NADH-オキシダーゼの活性化は食細胞において主な役割を担っており、磁界によるフリーラジカル産出はそれによるものであると仮定している。これを調べるため、NADH-オキシダーゼ活性に影響しない、特定のNADPH-オキシダーゼ阻害剤DPI(ジフェニレンヨードニウムクロリド)を用いた。これにより、二つの経路(NADH-オキシダーゼ/NADPH-オキシダーゼ)を識別することができる。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
experiment 1: 45 min; experiment 2: 45 min up to 24 h
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | experiment 1: 45 min; experiment 2: 45 min up to 24 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | Incubator containg 5% CO2 and maintained at 37°C |
ばく露装置の詳細 | Cultue plates were placed in the center of the coils, which were located in the middle of the incubator |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | unspecified | 測定値 | - | - |
この結果、前単球及びマクロファージの50Hz電磁界へのばく露後に、フリーラジカル産出の有意な増加が見られた。これは、超低周波磁界の細胞活性化能力を示している。
ばく露後、マクロファージとその前駆細胞(単球)の両方において、主にスーパーオキシド陰イオンラジカルが産出された。磁界によるフリーラジカル産出フリーラジカル産出の誘導はDPIによって阻害されなかったが、TPAによるフリーラジカル産出の誘導は約70%減少した。DPIには磁界ばく露細胞における阻害作用はないことから、著者らは、50Hz磁界はスーパーオキシド陰イオンラジカルを産出するのにNADH-オキシダーゼ経路を刺激するが、NADPH経路は刺激しない、と示唆している。磁界ばく露細胞には検出可能なNO2-産出は見られれなかった。
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