この研究は、超高圧送電線から発生する低周波電磁界のばく露を受けたラットから摘出された脾臓細胞を分析し、細胞の信号伝達への影響を調べた。32匹のラットをばく露群と対照群に分けた。ばく露群のラットは、電界強度4000 V/m、磁束密度0.09-0.1 Gの50 Hz電磁界ばく露を約400日連続で受けた。ばく露終了後に摘出された脾臓細胞の信号伝達への影響を分子生物学的手法で評価した。脾臓細胞の一部はIL-2による刺激処置された。IL-2刺激の脾臓細胞および非刺激の脾臓細胞それぞれにおいて、JAK-STATシグナル伝達経路におけるシグナルトランスデューサおよび転写活性化因子(STAT3)のリン酸化の量またはレベルをイムノブロッティングおよび免疫生化学によって測定した。その結果、IL-2によって刺激された脾臓細胞におけるホスホ-STAT3の発現は、非刺激の細胞におけるそれと差のないことが示された;対照群およびばく露群の細胞の信号伝達に関与する一般的なGタンパク質の赤外線吸収スペクトルにおけるピーク強度および周波数はどちらも明らかに異なった;これは、タンパク質の分子構造またはコンフォメーションが高圧送電線電磁界の影響下で変化したことを示す、と報告している。
データは、IL-2及び電磁界で刺激した脾臓細胞では、リン酸化STAT3の発現が顕著に上方制御され、またIL-2のみで刺激した脾臓細胞(対照群)では、リン酸化STAT3の発現は僅かに上方制御されたことを示した。この知見は、高圧線の電磁界は、IL-2によって刺激されるSTAT3のリン酸化を加速し、またJAK-STATシグナル変換経路も活性化することを示している。
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