この研究は、磁界ばく露によるヒトの心臓機能への影響をボランティア実験で調べた。合計59人の被験者を3群に分け、各群はそれぞれ異なる磁界密度のばく露を受けた。その3つのばく露レベルは、職場の3つの場所(ばく露が低い、中程度、高い)で働く労働者のばく露推定に用いられる、その場所での12時間の時間加重平均(TWA)磁束密度計算値(それぞれ、0.067 μT、1.18μTおよび5.2μT)を用いた。安静時およびばく露時の心電図を記録し、5つのパラメータ(心拍数(HR)、P波およびQRS波の持続時間、PR間隔、QT間隔)を導出した。QT間隔は、心拍数60で正規化した(QTc)。得られたデータを、まず多変量共分散分析し、次に共変量にばく露時間を用いた一元配置共分散分析(ANCOVA)を行った。その結果、QTc間隔のANCOVAのみが有意であった;この知見は、磁界の強度と応答の関係が非線形であることを示唆する;すなわち、調整された平均QTc値は、「低」グループと「高」グループで同程度であったが、「中」グループでは有意に減少した、と報告している。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
daily exposure of 12 h for at least 5 years
location 1
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ばく露2:
50 Hz
ばく露時間:
daily exposure of 12 h for at least 5 years
location 2
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ばく露3:
50 Hz
ばく露時間:
daily exposure of 12 h for at least 5 years
location 3
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周波数 | 50 Hz |
---|---|
タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | daily exposure of 12 h for at least 5 years |
Additional information | location 1 |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 0.067 µT | average over time | 推定値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | daily exposure of 12 h for at least 5 years |
Additional information | location 2 |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1.18 µT | average over time | 推定値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
|
波形 |
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ばく露時間 | daily exposure of 12 h for at least 5 years |
Additional information | location 3 |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5.2 µT | average over time | 推定値 | - | - |
データは、磁界強度と反応との関係が非線形であることを示唆している。調整後の平均QTc値は、「低」ばく露と「高」ばく露で同等であったが、「中」ばく露では有意に低かった。
この結果についての著者らの解釈は、この非線形効果は特定のばく露パターンのせいだったかも知れず、一般的には、時間加重平均のような単純な尺度を用いた電界及び磁界ばく露の特徴付けは不充分かも知れない、というものである。
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