研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[急性の200µT、60Hz磁界ばく露に対するヒト循環系の応答] med./bio.

The response of the human circulatory system to an acute 200-muT, 60-Hz magnetic field exposure

掲載誌: Int Arch Occup Environ Health 2011; 84 (3): 267-277

この研究は、ボランティア実験で、200 µT、60 Hzの超低周波(ELF)磁界MF)への1時間のばく露がヒトの循環系に及ぼす影響を調べた。微小循環皮膚血液灌流量測定により評価した。また、心拍(HR)はレーザードップラー流速計で、平均動脈圧は非侵襲的血圧測定システムで監視した。10人の被験者は、カウンターバランス・単純ブラインド化されたデザインで、別の日に実施される2つのセッションばく露および擬似ばく露)に参加した。それぞれのセッションは、休憩期間で区切られた一連の4つの観察期間が含まれ、MFの影響の累積性および残効性の評価ができるようにした。その結果、被験者分散分析では、以前の研究でMFの影響を示唆するかもしれないとされたパラメータのいずれについても、観察期間ごとにみて、セッション間の相互作用は見られなかった(p > 0.05);皮膚血液灌流量、HR、および皮膚表面温度は、実験の時間経過とともに低下した(p < 0.05);以前の研究報告でも同様に見られた、実験時間の経過に伴う灌流とHRの低下傾向は、身体の不活動(体温低下をもたらす)および生理的覚醒低下の組み合わせに関連するようであった、と報告している。

研究目的(著者による)

ヒトの血液循環に対する200µT、60Hz磁界への1時間のばく露の影響を調べること。

詳細情報

被験者10人が、異なる日に実施した2つの試験セッション(実ばく露及び偽ばく露)からなる本研究に参加した。各セッションには4つの一連の測定ブロック(ばく露前、15分間及び45分間のばく露中、ばく露終了の15分後)が含まれた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: continuous for 1 h except for 2 x 3 min. measurement time
  • 磁束密度: 200 µT effective value (field homogenous at head level)

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 1 h except for 2 x 3 min. measurement time
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • pair of vertical, parallel, octogonal Helmholtz-like coils
ばく露装置の詳細 coils with a diamter of 1.6 m, separated by 1.2 m; each coil consisted of 80 turns of AWG10 wire and a water-tubing system connected to a temperature-controlled water pump; volunteer seated in a padded chair in the middle of the coil system wearing ear plugs
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 200 µT effective value 測定値 - field homogenous at head level

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

このデータは、ヒトの循環器系に対する60Hz、200µTの超低周波磁界ばく露の影響を示唆しなかった。

本研究の知見は、先行研究(McNamee他、2010)で1800µTコイルの冷却に用いた水冷装置が室温上昇を生じ、それが皮膚温度の結果に影響を及ぼしたという、先行研究における著者らの仮説を支持している。

研究の種別:

研究助成

関連論文