研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ヒトの心拍変動に対する50Hz磁界の影響力:線形及び非線形分析] med./bio.

Influence of 50 Hz magnetic field on human heart rate variablilty: Linear and nonlinear analysis

掲載誌: Bioelectromagnetics 2004; 25 (6): 474-480

この研究は、50 Hz磁界MF)がヒトの心拍変動(HRV)に与える影響の有無をボランティア実験で調べた。ばく露には、市販の磁気治療装置を用いた。磁束密度レベルは、装置のコイルの中心で500 mT、被験者心臓の位置で150〜200 mT、頭の位置で20〜30 mTであった。ばく露プロトコルは2通り(MF-off 30分/ MF-on 30分およびMF-off 30分/ MF-off 30分)で、このうち前者が9人の被験者に、後者が6人に無作為に割り当てられた。実験中に記録された15人の被験者の心音図(PhCG)信号から、時間領域HRVパラメータ(心拍間隔の平均値(NN)、心拍間隔の標準偏差(SDNN)、隣接する心拍間隔の差が50ミリ秒を超える心拍間隔の回数の割合(pNN50))および非線形HRV指標(近似エントロピー(ApEn)、トレンドを除去した心拍ゆらぎのスケーリング指数)を算出した。1時間の実験時間で記録された心拍データを15分ずつに分けて算出した4組のHRVパラメータセットを反復測定分散分析ANOVA(RMANOVA)した。MF-off / MF-offプロトコルの場合、どの15分の間にもHRVパラメータの有意な変化は見られなかった;MF-off / MF-onプロトコルの場合、RMANOVAの後にチューキーの検定を行ったが、MF-on中に、NN(8 %増加)、SDNN(40 %増加)、およびpNN50(110 %増加)に有意な変化が見られた、と報告している。

研究目的(著者による)

50Hz磁界ばく露時に記録した心拍信号を、環境条件下で取得した心拍信号と比較すること。ばく露装置は市販の磁気療法用機器であった。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 1 h
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: intermittent, 30 min off (sham exposure) followed by 30 min magnetic field exposure

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 1 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 The subjects lay on a couch inside the coil (20 cm long x 60 cm in diameter) which was placed at the position of the subject`s hips
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 500 µT unspecified 測定値 - in the center of the coil
磁束密度 20 µT minimum 測定値 - at the head position
磁束密度 30 µT maximum 測定値 - at the head position
磁束密度 150 µT minimum 測定値 - at the heart position
磁束密度 200 µT maximum 測定値 - at the heart position

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 intermittent, 30 min off (sham exposure) followed by 30 min magnetic field exposure
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 500 µT unspecified 測定値 - in the center of the coil
磁束密度 20 µT minimum 測定値 - at the head position
磁束密度 30 µT maximum 測定値 - at the head position
磁束密度 150 µT minimum 測定値 - at the heart position
磁束密度 200 µT maximum 測定値 - at the heart position

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露中

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露時(磁界オフ/磁界オフのプロトコル)に実施した統計分析(反復尺度ANOVA)は、統計的な差はないことを示した。ばく露時(磁界オフ/磁界オンのプロトコル)に実施した反復尺度ANOVA後の別の統計的検定(事後ターキー検定)は、磁界オンで拍動間の平均時間(8%増)、拍動間の標準偏差(40%増)、pNN50(110%増)について統計的有意差を示した。
分析のデータは、これらのパラメータの変化は磁界の影響力と関連付けることができることを示している。

研究の種別:

研究助成

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