この研究は、50 Hz磁界(MF)がヒトの心拍変動(HRV)に与える影響の有無をボランティア実験で調べた。ばく露には、市販の磁気治療装置を用いた。磁束密度レベルは、装置のコイルの中心で500 mT、被験者の心臓の位置で150〜200 mT、頭の位置で20〜30 mTであった。ばく露プロトコルは2通り(MF-off 30分/ MF-on 30分およびMF-off 30分/ MF-off 30分)で、このうち前者が9人の被験者に、後者が6人に無作為に割り当てられた。実験中に記録された15人の被験者の心音図(PhCG)信号から、時間領域HRVパラメータ(心拍間隔の平均値(NN)、心拍間隔の標準偏差(SDNN)、隣接する心拍間隔の差が50ミリ秒を超える心拍間隔の回数の割合(pNN50))および非線形HRV指標(近似エントロピー(ApEn)、トレンドを除去した心拍ゆらぎのスケーリング指数)を算出した。1時間の実験時間で記録された心拍データを15分ずつに分けて算出した4組のHRVパラメータセットを反復測定分散分析ANOVA(RMANOVA)した。MF-off / MF-offプロトコルの場合、どの15分の間にもHRVパラメータの有意な変化は見られなかった;MF-off / MF-onプロトコルの場合、RMANOVAの後にチューキーの検定を行ったが、MF-on中に、NN(8 %増加)、SDNN(40 %増加)、およびpNN50(110 %増加)に有意な変化が見られた、と報告している。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 1 h
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ばく露2:
50 Hz
ばく露時間:
intermittent, 30 min off (sham exposure) followed by 30 min magnetic field exposure
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 1 h |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | The subjects lay on a couch inside the coil (20 cm long x 60 cm in diameter) which was placed at the position of the subject`s hips |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | intermittent, 30 min off (sham exposure) followed by 30 min magnetic field exposure |
ばく露の発生源/構造 |
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偽ばく露時(磁界オフ/磁界オフのプロトコル)に実施した統計分析(反復尺度ANOVA)は、統計的な差はないことを示した。ばく露時(磁界オフ/磁界オンのプロトコル)に実施した反復尺度ANOVA後の別の統計的検定(事後ターキー検定)は、磁界オンで拍動間の平均時間(8%増)、拍動間の標準偏差(40%増)、pNN50(110%増)について統計的有意差を示した。
分析のデータは、これらのパラメータの変化は磁界の影響力と関連付けることができることを示している。
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