<目的>著者たちのこれまでの研究において、電磁界に曝露されたボランティアは、或場合には心臓拍動が遅くなる現象が観察されていた。これを更に確かめるために、心拍への影響を調べるとともに、心臓脈管系全体に及ぼす影響をも調べることにした。そのためにこの報告では、起立性試験(orthostatic test)、耳管通気検査(Valsalva maneuver)、及び深呼吸により、自律機能への影響を調べた。<方法>21-41(平均28.3±5.2)歳の18名のグループ1と22-48(平均27.9±6.5)歳の15名のグループ2の病気や長期の薬物治療を受けていない健康な人が野外の試験に参加した。喫煙と試験前の活動については特定しなかった。グループ1は野外の電磁界のないところで1時間過ごし、次に200m程々歩いて400kV送電線下に入り、電界と磁界に1時間曝露され、再び電磁界のないところで1時間過ごした。グループ2も33kVの野外試験所で同様にシャム曝露を受けたが、被験者にはシャム曝露であることは知らせなかった。送電線下の電界は3.5-4.3kV/m、磁界は1.4-6.6μTの範囲に変化した。起立性試験は横たわった姿勢から起立する動作を数分おいて繰り返したときの収縮期と拡張期の血圧の変化を調べるものであり、耳管通気試験は或圧力に抗して口から排気したときの心拍の変化を調べるものである。深呼吸は横たわった姿勢で1分間に6回同じ速度で吸排気を繰り返したときの心拍の変化を見るものである。これらの変化が曝露前と曝露後では変わりがないことを確かめる。<結果>これらの試験の結果、1時間の曝露後30分経過した時点で曝露前の結果との有意な差は見られなかった。
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