1 我々は、超低周波電磁界(ELF-EMF)が、心臓血管パラメーターの基礎レベルと、交感神経系に対する薬物作用に影響するかどうかを調査した。2 オスのラットが、1日間(MF-1)あるいは5日間(MF-5)EMFをばく露され、他に偽ばく露対照ラットもおかれた。我々は、血圧(BP)、脈圧(PP)および心拍数(HR)の変化、心電図のPR間隔、QRS間隔およびQT間隔、基礎レベルにおけるリズム障害比、β-アドレナリン受容体作用薬によって引き起こされたリズム障害を見積もった。3 基礎レベルに関して、PR間隔、QRS間隔、平均BP、HRおよびPPにおける偽ばく露対照、MF-1およびMF-5の間で、統計的に有意な差異はなかった。しかし、心室再分極を表すQT間隔は、MF-1(P<0.05)によって著しく減少した。4 (-)ドブタミン(β-アドレナリン受容体-選択的作用薬)に誘発された頻脈は、HR(ΔHR)における増加、QRS間隔(ΔQRS)における減少およびQT間隔(ΔQT)における減少に対して、MF-1におけるELF-EMFばく露によって著しく抑えられた。アドレナリン(非選択的β受容体作用薬)に誘発されたリズム障害も、欠けた心拍数、リズム障害比、およびBPとPPにおける増加に対して、MF-1におけるELF-EMFばく露によって著しく抑えられた。5 これらの結果が示唆したのは、ELF-EMF(60Hz、20G)への1日ばく露は、心室再分極に影響することによってHRの増加を抑えることができ、また、交感神経作用薬によって誘発された心臓血管系の反応に対して下方調整効果を有するかもしれないということである。
基底レベルに関しては、対照群と電磁界ばく露群で、PR間隔、QRS群間隔、平均血圧、心拍及びパルス圧に統計的有意差はなかった。但し、心室再分極を示すQT間隔は、1日の電磁界ばく露によって有意に低下した。
(-)-ドブタミン(ベータ1-アドレナリン受容体選択的作用薬)による頻脈は、1日ばく露群において超低周波電磁界ばく露によって有意に抑制された。アドレナリン(非選択的ベータ受容体作用薬)による律動異常も、1日ばく露群において超低周波電磁界ばく露によって有意に抑制された。
これらのデータは、超低周波電磁界への1日ばく露が心室再分極に影響することで心拍の上昇を抑制し得ること、及び、交感神経作用薬によって生じる心臓血管系の応答に対する下方制御作用を有するかも知れないことを示した。
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