この研究は、1800 μT、60 Hzの超低周波(ELF)磁界(MF)への1時間のばく露が、ヒトの微小循環(この研究では皮膚血液灌流で代表する)、心拍数(HR)、低周波心拍変動(HRV)、および高周波HRVに与える影響を調べた。58人のボランティアの被験者は、別々の日に実施される2つのテストセッション(MFばく露セッションと擬似ばく露セッション)を二重ブラインド化、カウンターバランスした試験に参加した。各セッションは、15分の休憩期間で区切られた4つの連続した測定ブロックからなり、MFばく露の累積効果および残留効果の測定が可能となっていた。測定されたパラメータについて、被験者内でANOVAを実施した。その結果、ブロック全体にわたり、皮膚灌流とHRの減少、HRVの有意な増加が観察された;これまでに“MF効果”を示すとされてきた心臓血管パラメータのいずれについても、ブロック毎で見たセッション相互作用はなかった;皮膚表面温度については、ブロック毎で見たセッション相互作用およびMF順序効果(真のばく露と擬似ばく露のどちらを先にするか)が有意に観察された、と報告している。
ヒトの微小循環(皮膚の血液灌流)及び体循環(心拍、低周波心拍変動(0.04-0.15Hz)、及び高周波心拍変動(0.15-0.4Hz))に対する、1800µT、60Hz磁界への1時間のばく露の影響を調べること
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 1 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | pair of Helmholtz-like coils with a diameter of 1.6 m, 1.2 m apart; each coil consisted of 80 turns of AWG10 wiring and water tubes to prevent coil heating; test person seated between the coils; field homogeneous at head level |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
皮膚の血液灌流または記録したその他のECGパラメータに対する、1800µTでの60Hz磁界ばく露の影響は示されなかった。このデータは、被験者が主に偽ばく露条件よりも先に実ばく露される場合、磁界ばく露は皮膚表面温度を僅かに上昇させる傾向があることを示唆している。但し、この実験では環境室温の小さなゆらぎが交絡していたかも知れない。実際に、皮膚表面温度はばく露セッションを通じて安定していたが、偽ばく露セッションでは低下したという事実は、ばく露装置の機能から生じた0.5℃程度の部屋の加熱効果の結果かも知れない。それでも、表皮の温度調節に対する磁界の影響についての仮説は排除できない。
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