この研究は、高圧電力線までの住居の距離と神経変性疾患(特にアルツハイマー病)のリスクを調査した。デンマークの全国民において、1994-2010年に神経変性疾患と診断された全ての患者を含めた登録ベースの症例対照研究を実施し、診断前の5-20年間送電線の近くに居住していたことのハザード比を、条件付きロジスティック回帰分析により計算した。その結果、送電線近くの居住者において、老人性痴呆、パーキンソン氏病、多発性硬化症、運動神経疾患の発症リスクは上昇しなかった;送電線から50m以内に長年の居住している人において、アルツハイマー病のリスクは上昇しなかった(ハザード比=1.04、95%信頼区間:0.69-1.56);送電線から50m以内の居住年数による量反応関係も見られなかった;ただし、75歳までに診断された人において、リスク上昇の弱い示唆があった、と報告している。
グループ | 説明 |
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参照集団 1 | 住居から132-400kV電力線までの距離: ≥ 600 m |
集団 2 | 住居から132-400kV電力線までの距離: 200 - < 600 m |
集団 3 | 住居から132-400kV電力線までの距離: 50 - < 200 m |
集団 4 | 住居から132-400kV電力線までの距離: 0 - < 50 m |
診断の5-20年前に電力線の近傍に住んでいた人々では、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症、運動神経疾患を発症するリスクは上昇していなかった。アルツハイマー病のリスクは、かつての電力線の50m以内での居住について上昇していなかった(ハザード比1.04、CI 0.69-1.56)。電力線の50m以内での居住年数による量‐反応関係は認められなかったが、75歳までに診断された人々についてはリスク上昇の弱い兆候があった。
著者らは、神経変性疾患と電力線の近傍での居住との関連についての支持はほとんどない、と結論付けた。
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