【目的】流産に対する磁界の影響を調べるため、大規模な健康管理施設に登録している妊婦についての人口ベース前向きコホート研究を実施すること。【方法】妊娠10週以内で妊娠反応陽性、サンフランシスコ地域居住の妊婦を全てに対し、コホート調査への参加を依頼した。流産のリスク要因およびその他の交絡因子について、個人別のインタビューにより情報を取得した。また、24時間磁界測定用の個人ばく露計を身に付けることとその測定日の活動日誌を記録することを依頼した。妊娠の結末(出産、流産など)については、健康管理施設のデータベース、カルテ、電話によるフォローアップにより確認した。磁界と流産の関係をCoxの比例ハザードモデルで分析する。【結果】最終的に969人が分析に含まれた。流産のリスクは、平均磁界レベルとは関連を示さなかったが、16mGを閾値として、磁界ばく露の最大値がそれを上回るレベルで流産リスクは上昇した。この率比(RR)は1.8(95%信頼区間1.2-2.7)であった。(最大値が16mG以上であった時間の3分位カテゴリーで見た)ばく露レベルにつれてリスクは上昇した。妊娠10週未満での流産(RR = 2.2、95% CI = 1.2-4.0)、流産歴などがある高感受性者(RR = 3.1、95% CI = 1.3-7.7)での関連は強かった。磁界測定日の活動が妊娠中の代表的活動を表していないと申告した妊婦を除外すると関連は強まり、磁界ばく露の最大値が16mG以上についてのRR = 2.9 (95% CI = 1.6-5.3)、10週未満の流産ではRR = 5.7(95% CI = 2.1-15.7)、高感受性者ではRR = 4.0(95% CI = 1.4-11.5)であった。【結論】母体の磁界ばく露の最大値が一定のレベル(おそらく16mG)を上回ることが流産のリスクに関連するかも知れないという、前向き調査による強い証拠を今回の知見は提出している。今回観察された関連が、コントロールされていないバイアスまたは測定されていない交絡因子によるものであることはないと思われる。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 日常の最大磁界ばく露:< 1.6 µT |
集団 2 | 日常の最大磁界ばく露:≥ 1.6 µT |
タイプ | 値 |
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合計 | 2,729 |
参加者 | 1,042 |
評価可能 | 969 |
流産のリスクと平均磁界レベルとの関連は認められなかったが、1.6µT前後を閾値とする最大磁界ばく露のレベル上昇と共に流産のリスクは上昇した。1.6µTかそれ以上の最大磁界レベルにばく露された女性は、最大磁界ばく露が1.6µT未満の女性と比較して、流産のリスクが80%高かった。この関連は初期流産(< 妊娠10週)、及び、以前に胎児を複数喪失した「敏感な」女性、あるいは不妊の女性についてより強かった。測定中の日常活動のパターンが妊娠中の典型的な日常活動を代表していなかった助成を除外したところ、この関連はより強まった。スポット測定は、ばく露レベルの上昇と流産率との関連の一貫したパターンを示さなかった。
この知見は、特定のレベル(恐らく1.6µT前後)以上の出生前の最大磁界ばく露が流産のリスクと関連しているかも知れないという強い証拠を提示している。
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