<目的>これまでのVDTに関する疫学調査では,磁界測定が行われておらず(Schnorrを除き),使用頻度も本人の申告に基づくためバイアスの介入があった.これらの欠点を配慮し,VDT使用と自然流産との関連を検討する. <方法>妊娠初期に少なくとも2ヶ月以上勤務した者(20-35才)で,1975-1985年に1回のみの自然流産経験者を症例とした.症例1名に対して,年齢,妊娠率の一致した(±1年)正常出産の対照を3名選出した(症例368名,対照1098名).質問表を送り,VDT使用時間,型式,仕事内容,作業の人間工学的要素,喫煙,アルコールその他の交絡因子の情報を得て補正すると共に,医療登録データから流産に関する情報を入手し本人の申告をチェックした.更に会社からVDT使用時間,型式等の情報を入手し,VDT磁界は文献または実測によりデータを得た(ELF及びVLF各領域でのP-P値,スクリーン前面から50cm及び子宮の位置での強度).これらのデータが整備された後の最終的な症例数は191名,対照数は394名となった. <結果>1)妊娠初期にVDTの使用率は症例と対照とでほぼ同率で合った(表2).2)高レベルのELF磁界を発生するVDT(>0.9μT)を使用した者の流産のオッズ比は低レベル磁界のVDT使用者(<0.4μT)に比べ3.4(1.4-8.6)となった(表3).3)VLF領域の磁界と自然流産の関連は見られなかった(表4).4)VDT使用磁界も加味した曝露量と自然流産には関連が認められた(表5).5)人間工学的因子,作業ストレスの影響を検討しても上記の結果は変わらなかった.
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