疫学研究 (observational study)

[ニュージーランドでの1995－2010年における原発性脳腫瘍の発生率の時間的推移] epidem.

Trends in incidence of primary brain cancer in New Zealand, 1995 to 2010

著者: Kim SJH, Ioannides SJ, Elwood JM

掲載誌: Aust N Z J Public Health 2015; 39 (2): 148-152

この研究は、ニュージーランドのがん登録のデータを用いて、1995－2010年における原発性脳腫瘍の発生率を、年齢、性、形態および解剖学的部位別に計算した。対数線形回帰分析により、原発性脳腫瘍の年間発生率の時間的推移を評価した（年間変化率の変化とその95%信頼区間を推定した）。その結果、全ての原発性脳腫瘍において（神経膠腫においても、側頭葉または頭頂葉の神経膠腫においても）、一貫性のある増加は見られなかった；10-69歳において、全脳腫瘍の発生率は有意に低下した；神経膠腫の発生率は70歳以上で増加したが、これは診断の改善による可能性が高い；但し、この条件の研究では、10-15年以上の潜伏期がある影響については可能性が全くないとは言えない､と報告している。

The detailed summary of this article is not available in your language or incomplete. Would you like to see a complete translation of the summary? Then please contact us →

研究の目的(著者による)

Time trends in the incidence rates of brain malignancies were investigated in New Zealand from 1995 to 2010.

影響評価項目／リスク推定のタイプ

脳腫瘍: all types of brain cancer including the brain (e.g. glioma), meninges, central nervous system and cranial nerves

リスク推定のタイプ:

発生率

(標準化発生率比(SIR))

ばく露

- 移動体通信システム
- 携帯電話

調査対象集団

グループ:
- 男性
- 女性
- 小児
年齢: ≥ 10年
特性: population of New Zealand
観察期間: 1995 - 2010
調査地域: New Zealand
データ源: Cancer Registry
排除クライテリア: children under the age of 10

調査規模

タイプ	値
合計	4,360,000

結論(著者による)

There were 4,212 eligible cases (2,433 in males, 1,779 in females) at all ages diagnosed in the 15-year period 1995-2010 in the population of New Zealand. The age-standardized incidence rates are of 6.74 per 100,000 in males and 4.49 per 100,000 in females.
No consistent increase in incidence rates of all primary brain cancer, or especially of glioma were found in New Zealand from 1995 to 2010. At ages 10-69, the incidence of all malignant brain tumors declined significantly. Incidence of glioma increased at ages over 70, this is likely to be due to improvements in diagnosis. As with any such trend studies, a small effect, or one with a latent period of more than 10 to 15 years, cannot be excluded.

研究助成

記載なし／研究助成なし

関連論文

Elwood JM et al. (2022): [ニュージーランドにおける1995-2020年の脳のがん（神経膠腫）の傾向、携帯電話使用に関連して]
de Vocht F (2016): [ベイジアン構造時系列モデルおよび合成的対照データを用いた選択的脳腫瘍サブタイプへの携帯電話使用の1985-2014年間の影響の推測]
Grell K et al. (2016): [携帯電話からのばく露との関連で見た神経膠腫の頭蓋内分布：INTERPHONE研究からの分析]
Sato Y et al. (2016): [日本の若者における携帯電話使用との関連で見た中枢神経系悪性新生物の発生率の時間的トレンド]
Chapman S et al. (2016): [29年前の携帯電話導入以降にオーストラリアで脳腫瘍発生率は上昇したか？]
Yoon S et al. (2015): [携帯電話使用と神経膠腫のリスク：2002-2007年の韓国での症例対照研究]
Coureau G et al. (2014): [CERENAT症例対照研究における携帯電話使用と脳腫瘍]
Hsu MH et al. (2013): [台湾における10年間の集中的な携帯電話使用後の悪性脳腫瘍の発生率及び死亡率]
Deltour I et al. (2012): [北欧諸国における1979-2008年の携帯電話使用と神経膠腫の発生率：一貫性のチェック]
Barchana M et al. (2012): [脳神経膠腫の発生率および側性の変化は携帯電話使用と相関する：イスラエルでの全国人口ベースの調査]
Little MP et al. (2012): [携帯電話使用と神経膠腫のリスク：疫学研究の結果と米国における発生率の傾向との比較]
Ding LX et al. (2011): [中国の上海都市部での1983-2007年における脳および神経腫瘍の発生率増加]
Frei P et al. (2011): [携帯電話の使用と脳腫瘍のリスク：デンマークのコホート研究の更新]
Aydin D et al. (2011): [子ども及び思春期層の携帯電話使用と脳腫瘍：多拠点の症例対照研究（CEFALO）]
Cardis E et al. (2011): [携帯電話からの推定されるRF量に関連した脳腫瘍のリスク：インターフォン研究の5か国からの結果]
de Vocht F et al. (2011): [イングランドにおける携帯電話使用に関連した脳のがんの発生率の時間的傾向（1998-2007）]
Lehrer S et al. (2011): [米国の19州における携帯電話契約数と脳腫瘍発生率との関連]
Inskip PD et al. (2010): [米国における携帯電話使用に関連した脳のがんの発生率の傾向]
INTERPHONE Study Group et al. (2010): [携帯電話使用に関連した脳腫瘍リスク：インターフォン国際症例対照研究の結果]
Deltour I et al. (2009): [デンマーク、フィンランド、ノルウェー及びスウェーデンにおける1974-2003年の脳腫瘍発生率の時間的傾向]
Ahlbom A et al. (2009): [携帯電話と腫瘍リスクに関する疫学的証拠：レビュー]
Schüz J et al. (2006): [携帯電話使用とがんリスク：デンマークの全国コホートの更新]
Lönn S et al. (2004): [北欧4ヵ国における成人原発性脳内腫瘍の発生トレンド]
Cook A et al. (2003): [携帯電話使用と脳、頭部及び頸部の腫瘍についての時間的傾向]
Johansen C et al. (2001): [携帯電話とがん--デンマークにおける全国コホート研究]