超低周波(ELF)磁界へのばく露は、小児白血病に関する限定的な科学的証拠に基づき、国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対して発がん性があるかも知れない(グループ2B)」に分類されている。IARCの評価では、この疾病の適切な動物モデルがないことが強調されている。小児のB細胞性[骨髄由来細胞性]急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)は、遺伝的感受性と外的因子へのばく露との複雑な相互作用の結果である。最も一般的な染色体変化はETV6-RUNX1融合遺伝子で、これは前白血病性クローンを生じさせることで悪性腫瘍の低い発症リスクを与えるが、本格的な発病には二次的ヒットを必要とする。潜在的な予防的介入の策定には、二次的ヒットの環境的トリガを同定する必要がある。この研究の著者らは最近、ヒトのETV6-RUNX1+ 前白血病状態のB-ALLマウスモデルを作成した。この論文は、ARIMMORA[Advanced Research on Interaction Mechanisms of electroMagnetic exposures with Organisms for Risk Assessment、電磁界ばく露のリスク評価のための生物との相互作用機序についての先進的研究。欧州委員会の第7次枠組計画(FP7)の下で2011年10月に開始された]プロジェクトの予備的結果を示すものである。Sca1-ETV6-RUNX1マウス34匹(vs. 非ばく露群27匹)を1.5 mTの50 Hz磁界(基本波と高調波)に10分間オン/5分間オフで20時間/日、受胎から3月齢までばく露した。マウスを2歳までモニタし、フローサイトメトリで末梢血を定期的に分析した。その結果、ばく露群では1匹がB-ALLを発症したが、非ばく露群では1匹も発症しなかった。この予備的実験では用いたマウスが少なかったため、結果は統計的に有意ではないものの、全体としては、新たに作成したSca1-ETV6-RUNX1マウスは小児のB-ALLの病因についてのELF磁界ばく露研究に用いることができることが示された、と著者らは結論付けている。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1: 50 Hz |
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