<目的>磁界が白血病と関連すると述べている疫学論文と関連がないとする研究がある。この違いが何に基づくかは不明であるが“敏感な集団”においては新生物のリスクが増大するかもしれない。この感受性は病気への遺伝的素因によるかもしれない。もしこの仮説が正しいとすれば“敏感な集団”の存在が疫学研究の矛盾を説明できるかもしれない。疫学研究は造血系への磁界影響を示唆しているが、これまでの動物実験では当該動物モデルへの関心は低かった。本実験においてはリンパ腫に遺伝的素因のある二系統のマウスを用いて60Hz磁界の影響を検討する。 <対象・方法>高発症動物モデルとしてPIMトランスジェニックマウス及び低発症動物モデルとしてTSG-p53(p53ノックアウト)マウスを用いた。PIMマウスはN-ethyl-N-nitrosourea(ENU)を25mg/kgを1回腹くう内投与、翌日から60Hz直線磁界を18.5h/d、23wばく露した。強さは0.002、2、10、10(1h on/1h off)G (Table 1)、p53はENUは投与せず、0、10.0G(Table 2)。 <結果・結論>Figs 1、2、Tables 1、2にまとめてあるように両系統のマウスともに磁界ばく露の影響はみられなかった。
2つのトランスジェニックマウスのモデルシステムを用いた:1) pim-1 発がん遺伝子を有するマウス(いわゆるPIMトランスジェニックマウス、エチルニトロソウレアの単用量投与後にリンパ芽球性リンパ腫が急激に成長する);2) 腫瘍抑制遺伝子p53のないマウス(いわゆるTSG-p53マウス)。
各群につき雌雄各30匹の動物を用いて、異なる磁束密度の磁界に連続または間欠的にばく露する実験を実施した。
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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偏波 |
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ばく露時間 | 1 h on - 1 h off for 18.5 h/day for 23 weeks |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | 測定値 | - | - |
10Gの磁界に連続ばく露された雄のPIMマウスにおけるリンパ腫の発生率は、性別でマッチングした偽ばく露よりも有意に低下した。どちらの系統のマウスにも、偽ばく露群と他のばく露群でリンパ腫発生率に有意差は認められなかった。
これらの結果は、磁界ばく露が遺伝的素因のあるマウスのリンパ系腫瘍形成の有意なリスク要因であるという仮説を支持していない。
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