この研究は、腫瘍性形質転換において、電磁界がコプロモータとして作用する可能性を調べた。INITC3H / 10T1 / 2マウス線維芽細胞を用い、ばく露した60 Hz磁界レベルは、0.8、8、80、および300 µTとした。この細胞は、メチルコラントレンによって発がん性に形質転換されるが、新生物表現型は培地中の酢酸レチノール(RAC)の存在によって無期限に抑制できる。磁界ばく露の影響を次の3段階で調べた:(1) 形質転換開始前(すなわち、培地中にRAC存在)、(2) 形質転換プロセスの初期(RAC除去後4日)、(3) 腫瘍性形質転換完了(RAC除去後10日)。その結果、磁界ばく露は、hsp70およびc-Fosのタンパク質レベルならびにAP-1結合活性の有意な増加を誘導した;磁界ばく露は、形質転換開始前にMAPK/ERK1/2のリン酸化を誘導したが、これらの増加は形質転換プロセス進行中に消滅した;他の主要な細胞外ストレス経路SAPK / JNKにおけるリン酸化は、腫瘍性形質転換の前、最中、または後のいずれの時点で磁界ばく露を受けた細胞においても検出されなかった、などの知見を報告し、磁界ばく露が細胞の形質転換速度に影響する、あるいはコプロモータとして作用する示唆はなかったと結論している。
用いた細胞株は、その形質転換状態を改変することができた。レチニルアセテート付与は細胞の形質転換の抑制につながるので、3段階での細胞実験を可能にする:1) 形質転換のイニシエーション前、2) 形質転換の初期、3) 形質転換全体。
TPA処理細胞を陽性対照に用いた。
Cells were exposed: i) during suppression of neoplastic phenotype ii) 4 days after withdrawal of RAC iii) during full neoplastic transformation
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | up to 180 min continuous |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | 100 mm Petri dishes on Plexiglas stand, horizontal orientation |
ばく露装置の詳細 | coils consisting of 164 turns of 19-gauge wire on a square form (13 cm long, 14 cm wide) with 8 cm spacing; coils shielded in µ-metal containers |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
電磁界ばく露は、形質転換していない細胞(第1段階)のHsp70、c-Fosレベル、AP-1 DNA結合活性化の有意な増加を生じた。形質転換した細胞ではこれらの影響は低下した。
マイトジェン活性化プロテインキナーゼのリン酸化は、形質転換の開始前に最も強調されたが、この増加は形質転換過程で消失した。電磁界ばく露細胞では、形質転換のどの段階でも、ストレス活性化プロテインキナーゼのリン酸化に変化は認められなかった。
調査したパラメータについての結果は、電磁界は細胞の形質転換率に影響しなかったか、コ・プロモータとして作用したことを示すものである。
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