【目的】第一期調査の目的は、携帯電話基地局への住宅の接近と健康上の愁訴とが関連するか、またリスク認知が同じく健康上の愁訴と関連するかを調べること。【方法】ドイツ国内で民間研究機関が定期的に実施している大規模パネル調査の一環として、人口ベースの多段階横断研究を実施した。第1期調査は、全国調査に参加している51, 444人の中から、自分の健康に対する携帯電話基地局の影響に関する質問に郵送回答した30, 047人を対象とした。リストされた健康上の愁訴38項目について、それぞれ4段階(症状が“全く無い”から“強い”まで)で回答させた。また、携帯電話基地局の健康への影響を懸念しているか、自分の症状全般は携帯電話基地局が原因であると考えるかの二つの質問にYes/Noで回答させた。重回帰分析により、基地局への住宅の接近度およびリスク認知などを独立変数として、健康上の愁訴を予測した。【結果】30, 047人の参加者(参加率58.6%)のうち、携帯電話基地局の健康悪影響について懸念を抱いていると回答した人は18.7%、自分の健康悪影響を基地局からのばく露が原因であると考える人は10.3%であった。健康影響を懸念するまたは基地局が原因と考える人で、かつ基地局の近く(500m)に居住する人は、その他の人に比べ、愁訴の報告がやや多めであった。【結論】携帯電話基地局からのばく露が引き起こす健康への悪影響について、ドイツ一般住民のかなりの割合の人が懸念を抱いている。しかし、基地局近くで観察されたやや高めの不定愁訴有症率については、このような懸念や基地局原因説をとる考え方をもってしても完全には説明しきれない。
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 51,444 |
参加者 | 30,047 |
参加率 | 58 % |
ジオコーディング情報によれば、参加者の51.5%が携帯電話基地局から500m以内に住んでいた。参加者の41.6%が基地局からの距離を500m未満または500m以上に正確に分類した。参加者の18.7%が携帯電話基地局からの健康影響について懸念しており、10.3%が健康への悪影響は基地局から発せられる無線周波電磁界のせいだとした。懸念している、または健康への悪影響を基地局のせいにした参加者で、基地局の近傍に住んでいた被験者は、その他の人々よりも僅かに多くの体調不良を訴えた。但し、この知見は懸念または基地局のせいにすることによっては十分に説明できない。
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