この横断調査は、ポーランドのウッチ(ポーランド第2の都市であり最大の工業都市)において、基地局の近隣住民の健康状態及び自覚症状の質問紙調査、住宅内電磁界レベル測定、基地局から住居までの距離を調べた。その結果、基地局から測定対象の住居までの距離と電界強度との有意な相関はなかった。距離について、第1群(50-100m)、第2群(101-150m)、第3群(151-200m)、第4群(201-500m)として、申告された症状の頻度を分析した。頭痛は全体の約57%の人々から申告されが、特に”毎日またはほぼ毎日の頭痛”についてはより遠くの群と比較して、第2群での頻度(36.4%)が最も高かった。記憶障害は、全体の24.4%から申告されたが、第3群(25.2%)第4群(26.9%)の方が、第1群(15%,)第2群(14.7%)より有意に高かった。このように、自覚症状の頻度について電界強度との相関はなく、基地局からの距離との相関が見られたことを説明するために更なる研究が必要であると著者は考察している。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 住居から基地局までの距離: 50 - 100 m |
集団 2 | 住居から基地局までの距離: 101 - 150 m |
集団 3 | 住居から基地局までの距離: 151 - 200 m |
集団 4 | 住居から基地局までの距離: 201 - 250 m |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 500 |
12%の集合住宅(195棟のうち23棟)で0.8V/m(測定装置の感度)を超える電界強度が記録され、ポーランドの基準で指定された許容値の7V/mを超えることはなかった。電界強度と、測定された集合住宅から携帯電話基地局までの距離との間に有意な相関はなかった。
被験者の57%が頭痛を報告し、主に(36.4%)携帯電話基地局から100-150mに住んでいた。携帯電話基地局から150m以遠に住んでいた人々は、50-150mに住んでいた被験者よりも、記憶障害をより多く報告した。調査したその他の全ての自覚症状及び健康状態については、4つの異なるグループ間に統計的有意差は認められなかった。
著者らは、電界強度と自覚症状との相関が認められなかったが、基地局からの距離と自覚症状との相関が認められた理由の説明を見出すため、更なる研究が必要である、と結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。