研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[Wistarラットの骨髄に対する超低周波磁界の細胞毒性作用] med./bio.

Cytogenetic effects of extremely low frequency magnetic field on Wistar rat bone marrow

掲載誌: Mutat Res Genet Toxicol Environ Mutagen 2007; 630 (1-2): 69-77

この研究は、Wistarラット脛骨骨髄細胞超低周波磁界(ELF-MFばく露を与え、遺伝毒性および細胞毒性の可能性を染色体異常(CA)および小核MN)試験により評価し、有糸分裂指数(MI)、および多染性赤血球(PCE)の正常染色性赤血球(NCE)に対する比率も調べた。Wistarラットは、ヘルムホルツコイルシステムによって生成された水平方向の50 Hz、1 mTの均一磁界に、急性ばく露(1日4時間)および長期ばく露(4日間で45時間)した。マイトマイシンC処理群(MMC、2 mg / kg BW)を陽性対照とした。その結果、染色体への影響には、対照群急性ばく露群および長期ばく露群の間に有意差が見られなかった;長期ばく露群での平均CAは、対照群および急性ばく露群のものに比べて高かったが、統計学的に有意ではなかった;長期ばく露群での平均小核頻度は、対照群および急性ばく露群のものに比べ有意に高かった;骨髄のMIは、急性ばく露群および長期ばく露群のどちらの平均値も、対照群に比べ有意に低下したが、急性および長期ばく露による有意差はなかった;急性ばく露群のPCE / NCE比の平均は、対照群および長期ばく露群のものより有意に低かった;さらに、長期ばく露群での平均のPCE / NCE比は、対照群よりも有意に低かった;なお、MMC処理群では、他のすべての群に比べ、CAの数およびMN形成頻度が有意に高く、MIおよびPCE / NCE比は有意に低かった、と報告している。

研究目的(著者による)

ラット脛骨骨髄細胞に対する50Hz磁界への短期(45時間)及び長期(45日間)ばく露の潜在的な遺伝毒性及び細胞毒性作用をイン・ビボで調べること。

詳細情報

健康な成獣の雌のWistarラット(8週齢、平均体重178±15g)で実験を実施した。マイトマイシンC(2mg/kg)で処理した動物陽性対照とした。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: experiment 1: 4 h continuous; experiment 2: 4 h/day for 45 days

General information

rats were treated in four groups: i) short time exposure to EMF ii) long time exposure to EMF iii) sham exposure iv) positive control: injection of 2 mg/kg Mitomycin C

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 experiment 1: 4 h continuous; experiment 2: 4 h/day for 45 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 Helmholtz coil system consisting of coils with 42.75 cm diameter and a clearance of 21.375 cm, made of 160 turns of insulated copper wire; 26 x 17 x 13 cm polycarbonate cages in the center of the coils
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1 mT - 測定値 - +/- 0.05 mT

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

遺伝毒性に関する結果では、陰性対照ばく露群に染色体異常についての統計的有意差は認められなかった。但し、長期ばく露群では陰性対照群及び短期ばく露群と比較して、平均小核頻度が統計的に有意に高かった。
両方の磁界ばく露群の骨髄における有糸分裂指数は、陰性対照群と比較して、有意に低下した。加えて、両方の磁界ばく露群では、骨髄細胞毒性(低下)が、多染性赤血球/正染性赤血球の比率によって認められた。
これらの結果は、超低周波磁界へのばく露には、哺乳類骨髄細胞に対して遺伝毒性及び細胞毒性があるかも知れないことを示している。

研究の種別:

研究助成

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