この研究は、マウス下垂体前葉由来のAtT20 D16V細胞株が神経成長因子(NGF)に応答して神経分泌様細胞へと分化する活動に対して、50 Hzの超低周波電磁界(ELF-EMF)が影響を及ぼすか否かを調べた。ELF-EMFの磁束密度は2 mTとした。ばく露を受けた1個のAtT20 D16V細胞における細胞内カルシウム([Ca2 +] i)および細胞内pH(pHi)を、[Ca2 +] iおよびpHiの蛍光標識試薬Indo-1およびSNARF用いて単一細胞蛍光顕微鏡でモニタした。その結果、ばく露細胞において、[Ca2 +] iの有意な増加と、それに続くpHiの低下が示された;ばく露細胞を走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型顕微鏡で観察すると、非ばく露細胞に比べ、ペプチド作動性細胞および神経分泌様細胞に典型的な形質膜の形態学的変化を示していた;ニューロフィラメントタンパク質NF-200に対するモノクローナル抗体を用いて、ばく露細胞が対照に比べ分化の初期段階にあるという追加の証拠が得られた;これらの知見は、50 Hz ELF-EMFへのばく露がAtT20 D16V細胞の分化を促進する原因であることを示唆する、と報告している。
この細胞は電気的に興奮性で、高電圧で活性化するカルシウムチャネルを有し、カルシウム(Ca2+)依存性の信号伝達カスケードに対する超低周波電磁界ばく露の影響を調べる良いモデルである。この細胞株は、神経突起様の過程を延長し、神経分泌細胞様細胞に分化することで、神経成長因子に応答する。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | initiated at 300 s till 660 sec |
ばく露の発生源/構造 | |
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Distance between exposed object and exposure source | 2 mm |
ばく露装置の詳細 | The coil was lowered into the incubation chamber which was movable to get the desired MF at the location of the sample. The adherent cells on a glass cover slip were positioned 2 mm below the coil. For sham control, the current was passed into the two coil windings in opposite directions to obtain zero MF at the same time producing the same heat (37°C) as exposure experiments. |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 2 mT | effective value | 測定値 | - | - |
ばく露細胞には、細胞内カルシウムの統計的に有意な増加と、その後の細胞内pHの減少が認められた。ばく露細胞には非ばく露細胞と比較して、原形質膜に形態変化が見られた;この変化は、アクチンフィラメント分布の再配置、及びペプチド作動性神経細胞に典型的な特性:サイトソルにおける分泌腺様の顆粒の発生、及びシナプス小胞での神経分化マーカーのシナプトフィジンの増加、の出現を伴った。
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