この研究は、小脳顆粒ニューロン(CGN)の発達に対する50 Hz電磁界(EMF)の影響を調べた。新生仔ラット小脳(生後8日)から調製された顆粒ニューロンは、EMFばく露下でプレート播種後に培養された。ばく露終了後に細胞および分子生化学的変化を調べた。その結果、5日間のばく露群では、細胞の生存率が30%低下したのに対し、無ばく露群での死亡率はわずか5 %であった;さらに、グルタミン酸受容体(GluR)をGlu競合因子であるMK-801でブロックすると、EMFばく露による毒性効果は検出されなかった;パッチクランプ法により測定された、6日間ばく露を受けたCGNからのカイネート誘導電流は、対照群に比べ有意に増加した;ウエスタンブロットおよび逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)分析によれば、EMFばく露を受けたラットCGNでは、対照群との比較において、GluRタンパク質およびmRNAの発現が変化した;さらに、ニューロフィラメントタンパク質(NF-200)に対するモノクローナル抗体を用いることで、ばく露を受けたCGNでのNF-200合成の増加が示された、と報告している。
新生ラット(生後8日目)の小脳から顆粒ニューロンを準備した。
これらの細胞は、細胞、化学的または電気的特性良いを調べるためのモデルの代表である。培地での小脳顆粒ニューロンの寿命は比較的短いことが知られており、培養8日後には、細胞はグルタミン酸塩に対して敏感になる。未熟な細胞はグルタミン酸塩受容体が陰性である。但し、発達の際、グルタミン酸塩受容体の発現の上昇が生じる。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 5 days
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 5 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Both the sample and the solenoid were kept in a CO2 incubator maintained at 37°C. Magnetic field deviation was within 5% inside the cylindrical exposure volume (14 cm x 17 cm) along the solenoid. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | effective value | 測定値 | - | - |
5日間の電磁界ばく露は、細胞の生存率の30%減少を示したが、非ばく露サンプルでは死亡率は僅か5%と報告された。加えて、グルタミン酸塩受容体を(グルタミン酸と競合するMK-801によって)ブロックすると、ばく露後の毒性作用はなく、グルタミン酸塩は検出されなかった。
6日齢のばく露細胞からのカイニン酸による電流は、対照細胞と比較して有意に高かった。
ウェスタンブロット及びRT-PCR解析では、小脳顆粒ニューロンの電磁界ばく露は、対照群と比較して、グルタミン酸塩受容体タンパク質及びmRNAの発現の両方の変化を生じることが示された。
加えて、ニューロフィラメントタンパク質(NF-200)に対する抗体を用いた場合、ばく露細胞におけるNF-200合成が増加することがわかった。
熱ショックタンパク質の発現には差は認められず、このことは、ばく露細胞は熱的影響によるストレスを受けていなかったことを示唆している。
これら全てのデータは、非電離放射線へのばく露は、小脳顆粒ニューロンの寿命を短縮させるグルタミン酸塩受容体の早期発現に寄与しており、より急激な細胞の成熟につながることを示唆している。
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