神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)については幾つかの環境リスク要因が示唆されており、これには磁界ばく露が含まれる。職業的に磁界にばく露された集団において正の関連を示唆する研究もあるが、居住環境ばく露とのつながりは依然として議論の余地がある。最近、量‐反応メタ分析のための先進的な生物統計学ツールが利用できるようになったことから、この研究は、ALSと磁界への居住環境ばく露との量‐反応関係を評価するために系統的レビューを実施した。2021年4月30日までオンライン文献検索を実施し、架空電力線からの距離、または磁界モデリング技術のいずれかに基づいて電磁界への居住環境ばく露を評価し、かつ、ALSのリスク推定値を報告している研究を対象に含めた。適格な研究6報が同定され、そのうち4報は距離、1報はモデリング、1報はその両方に基づいてばく露を評価していた。距離および特定のモデルに基づくばく露推定値は、いずれも最も高いばく露カテゴリーでALSのリスク低下と関連しているように見えた(それぞれ、サマリ相対リスク(RR)= 0.87、95%信頼区間(CI)= 0.63-1.20;サマリRR = 0.27、95% CI = 0.05-1.36)。但し、推定値は非常に不正確であった。量‐反応メタ分析でも、電力線からの距離とALSとの関連はほとんど示されず、閾値の証拠もなかった。全体として、居住環境磁界ばく露とALSとの正の関連についての証拠はほとんど認められなかったが、入手可能なデータは限定的で、量‐反応分析または階層化分析を実施できなかった、と著者らは結論付けている。
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