この研究は、デンマーク全国規模で1996-2002年に登録された妊婦コホート(Danish National Birth Cohort)を利用し、そのコホートから出生した小児が7歳に達した時、母親に小児の健康、行動、ばく露について質問紙調査した。携帯電話ばく露(出生前のみ、出生後のみ、出生前と後)と小児の偏頭痛および頭痛関連症状との関連について多変量調整モデルを用いて分析した。その結果、小児52680人のデータを分析した;ばく露があった小児の方が、ばく露がなかった小児に比べ、偏頭痛および頭痛関連症状のオッズ比が高かった;出生前と後の両方でばく露があった小児でのオッズ比は、偏頭痛で1.30(95%CI:1.01-1.68)、頭痛関連症状で1.32(95%CI:1.23-1.40)であった、などを報告している。結論として、今回のような観察研究においては調整されない交絡因子および誤分類が潜在することを考慮すると、観察された関連はおそらく因果関係を示すものではないであろう;しかし、携帯電話の普及を考えれば、因果関係が存在する場合には大きな公衆衛生上のインパクトになるであろう、と述べている。
子どもが7歳になった時、子どものばく露(例:母親の妊娠中の携帯電話使用、子どもの7歳の時点での携帯電話使用)、生活様式、健康問題(例:偏頭痛または「頭痛、胃痛または病気の頻繁な訴え」)に焦点を絞ったアンケートへの回答を母親に求めた。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | ばく露なし |
集団 2 | 出生前のばく露 |
集団 3 | 出生後のばく露 |
集団 4 | 出生前及び出生後のばく露 |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 91,256 |
参加者 | 59,975 |
参加率 | 66 % |
評価可能 | 52,680 |
母親の報告によれば、52680人の子どものうち39%が出生前にばく露され、36%が7歳の時点で携帯電話を使用していた(出生後ばく露)が、週に1時間超使用していたのは1%未満であった。20%の子どもは出生前のみ、16%は出生後のみ、19%は出生前及び出生後の両方にばく露され、40%は携帯電話ばく露についての報告がなかった。
携帯電話にばく露された子どもは、ばく露されなかった子供と比較して、偏頭痛及び頭痛関連の症状のリスクが上昇していた(出生前及び出生後の両方にばく露された子どもでは、偏頭痛についてのOR 1.30(CI 1.01-1.68);頭痛関連の症状についてのOR 1.32(CI 1.23-1.40))。
著者らは、この研究では携帯電話ばく露は子どもの頭痛と関連していたが、本研究のような観察研究における制御されていない交絡因子と誤分類に鑑みれば、この関連は因果関係ではないかも知れない、と結論付けた。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。