この研究は、小児の携帯電話使用と聴力低下の関連を、デンマークの国家出生コホート調査(DNBC;1996-2002年に、全国の全ての妊婦の約半数に参加を依頼し、約60%である91661人が参加した。妊娠12週、30週、新生児6ヵ月、18ヵ月、7歳時点でのインタビューおよび質問票調査によりフォローアップした)の一部として行った。この分析では、ばく露情報は7歳時インタビューでの「小児が通話に携帯電話を使用しているか」に対する回答;アウトカムは、7歳時点での永久的聴力低下(母親の回答による。聴力低下の診断については18ヵ月インタビューで質問済み);共変数は、妊娠中のインタビュー(社会職業的状態と妊娠中の母親の喫煙、飲酒、発熱)、6ヵ月、18ヵ月インタビュー(小児の耳の感染症)、7歳児質問紙(母親の妊娠中の携帯電話使用の行動様式、7歳までの間の小児の内耳炎既往の有無)から取り込んだ。出生医療登録にリンクさせて、母親の年齢、小児の出生日、出生時の妊娠月数と性別を入手した。分析方法は、多変量ロジスティック回帰分析、周辺構造モデル(MSM、ばく露を受ける確率の逆数で重み付け)、二重ロバスト推定(DRE)を用いた。その結果、分析対象とした小児は52680人であった;7歳時点での携帯電話使用と聴力低下の間に弱い関連を見出した(オッズ比[95%信頼区間]は、ロジスティック回帰分析では1.21[0.99-1.46]、MSMでは1.23[1.01-1.49]DREでは1.22[1.00-1.49]であった);今回の結果は多様なバイアスの影響を受けた可能性があり、再確認研究の必要がある、と報告している。
子どもの携帯電話使用についての母親の報告と7歳の時点での難聴との関連を、デンマークにおけるコホート研究で調査した。本研究の更なる狙いは、18か月の時点での難聴が7歳の時点での携帯電話使用に影響を及ぼすかどうかを調べることであった。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 7歳の時点での携帯電話使用なし |
集団 2 | 7歳の時点で携帯電話使用 |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 91,661 |
参加者 | 59,975 |
評価可能 | 52,680 |
836人(1.6%)の子どもに7歳の時点での永続的な難聴が報告された。1405人(2.7%)の子どもが18か月の時点で聴力低下の診断を受けたが、母親の報告による7歳の時点での永続的な難聴は、そのうちの僅か6%(n=82)であった。約36%(n=18935)の子どもは7歳の時点で携帯電話を使用していたが、週に1時間超使用していたのは1%未満であった。
7歳の時点での携帯電話使用と難聴との弱い関連が認められた(伝統的なロジスティック回帰:OR 1.21、CI 0.99-1.46;MSMモデル:OR 1.23、CI 1.01-1.49;DREモデル:OR 1.22、CI 1.00-1.49)。18か月の時点での聴力低下と7歳の時点での携帯電話使用との関連は認められなかった。
著者らは、彼らの知見は各種のバイアスに影響されていた可能性があり、携帯電話ばく露が聴覚に影響を及ぼすと結論付けるには不十分である、としている。
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