研究のタイプ: 疫学研究

[出生前の携帯電話使用、無線周波放射および鉛ばく露後の最初の3年間の神経発達] epidem.

Neurodevelopment for the first three years following prenatal mobile phone use, radio frequency radiation and lead exposure

掲載誌: Environ Res 2017; 156: 810-817

母親の携帯電話使用への出生前のばく露が子どもの神経発達に及ぼす影響についての研究では、発達段階に応じて異なる結果が示されていることから、この研究は、携帯電話使用ならびに無線周波RF電磁界に出生前にばく露された生後36か月までの子どもの神経発達を、鉛ばく露との関連で調査した。前向きコホート研究「母親と子どもの環境健康(MOCEH)研究」の母子1198組を分析した。妊娠20週以下の妊婦にアンケートを配布し、携帯電話での通話頻度及び通話時間を評価した。個人ばく露メーターを用いて妊婦210人のRFばく露を24時間測定した。妊娠中の母親の血中鉛濃度を測定した。乳児発達のBayleyスケール改訂版の韓国語版を用いて、生後6、12、24、36か月の子どもの神経発達を評価した。その結果、生後6、12、24、36か月の子どもの神経運動発達指標(PDI)および精神発達指標(MDI)は、妊娠中の母親の携帯電話使用と有意に関連していなかった。但し、子宮内で母親の高い血中鉛濃度にばく露された子どもでは、携帯電話平均通話時間の増加と関連して、最長で生後36か月までPDIが低下するリスクが有意に高かった(p-trend=0.008)。妊娠中の平均通話時間および頻度と関連して、最長で生後36か月までMDIが低下するリスクも認められた(平均通話時間および通話頻度に対して、それぞれp-trend=0.05および0.007)。すべての被験者でも、あるいは妊娠中の母親の血中鉛濃度で階層化したグループでも、子どもの神経発達と、個人ばく露メーターで測定した出生前のRFばく露との有意な関連はなかった。著者らは、出生前のRFばく露と、出生後3年間までの子どもの神経発達との関連は認められなかったが、出生前のばく露携帯電話使用との潜在的な複合影響が示唆される、と結論付けている。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
集団 1 average number of calls per day: ≤ 2
参照集団 2 average number of calls per day: 3 - 5
集団 3 average number of calls per day: ≥ 6
集団 4 average calling time per day: < 3 min
参照集団 5 average calling time per day: 3 - < 10 min
集団 6 average calling time per day: 10 - < 30 min
集団 7 average calling time per day: ≥ 30 min
参照集団 8 non-heavy users: ≤ 6 calls per day or ≤ 30 min calling time per day
集団 9 heavy users: > 6 calls per day or > 30 min calling time per day

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 1,751
参加者 1,198
評価可能 1,198
統計学的分析方法: (調整: )

研究助成

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