この研究は、神経様細胞株(PC12)、グリア細胞由来GL15細胞、また筋細胞のモデルとしてC2C12筋細胞を用いて、超低周波電磁界(ELF-EMF)ばく露の非興奮性および興奮性細胞への影響を調べた。実験において特に注意を払った点は、ELF-EMFの発生とばく露の標準的で再現性のある環境条件を提供するようなプロトコルを用いることであった。そのために、ある一定の体積の組織サンプルでの時間変化する磁界ベクトルの測定を可能とする測定用スキャナー付きのばく露システムを開発した。このシステムは、電磁ノイズ源の検出、監視、除去が可能であることに加え、電磁界の強度と偏波の均一性の評価も可能であった、と述べている。ばく露実験の結果、ELF-EMFの急性ばく露(0.1 – 1 mT、30分間)後の細胞の応答(活性酸素腫(ROS)産生、ミトコンドリア膜電位)は、磁界の強度またはばく露時間よりも、細胞のモデルに強く依存することが示された;PC12およびGL15細胞株のどちらにおいても、ROS産生の有意な増加が検出されたが、それぞれの細胞株で時間コースが異なっていた;GL15細胞では、ミトコンドリア膜電位の低下が生じた可能性があり、これはC2C12細胞でも観察された;最大1 mTまでの慢性ばく露(6日間)は、細胞増殖または細胞分化に変化を生じさせなかった、と報告している。
本研究の狙いは2つある:1) 超低周波電磁界にイン・ビトロばく露中の異なる細胞モデル(神経細胞、神経膠細胞、骨格筋細胞)の活性酸素種の生成及びミトコンドリア膜電位を調査すること、及び2) そのプロトコルを、特に、生物学的モデルの制御された50Hz電磁界ばく露を担保するために開発した機器について記述すること。
加えて、動物モデルに関する先行研究(Falone他、2008)及び原核細胞を用いた細胞モデル(Cellini他、2008)のデータも要約した。これらの研究の詳細は本稿には示していない。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 30 min (acute exposure) or 7 days (chronic exposure) |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Helmholtz coils with a side length of 828 mm, a separation of 451 mm and 64 turns of AWG (American Wire Gauge) 12 wire |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | whether the chronic exposure was also done with Helmholtz coils or instead with a solenoid is not stated clearly in the article |
このデータは、超低周波電磁界への急性ばく露後の細胞の応答(ROS産出及び/またはミトコンドリア膜電位)は、適用した磁界強度またはばく露の持続時間よりも、細胞のモデルに強く依存することを示した。神経細胞様(PC12)及び神経膠様(GL15)細胞株のどちらでも、ROS産出の有意な増加が検出されたが、それぞれの細胞株で時間コースが異なっていた。GL15細胞では、恐らくミトコンドリア膜電位の低下を生じ、これはC2C12細胞でも認められた。
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