この研究は、褐色細胞腫由来細胞株(PC12細胞)を神経細胞モデルとして用い、超低周波電磁界(ELF-EMF)ばく露がインビトロでの神経突起形成に与える影響を調べた。短期ばく露(30分間)および長期ばく露(1 - 7日間)をそれぞれ、磁束密度0.1 mTおよび1.0 mTで実施した。増殖率と神経突起形成はそれぞれ、比色分析と形態素解析で測定した。単一細胞のビデオ顕微鏡法により、活性酸素種(ROS)レベルと細胞内Ca2+変動をモニタした。その結果、1 - 7日間継続した磁界ばく露(0.1または1.0 mT)は、生物学的応答(増殖および神経突起形成)に有意な影響を与えるようには見えなかった;急性ばく露(30分間)中には、未分化PC12細胞でのROSレベル上昇、カタラーゼ活性低下が見られた;しかし、未分化PC12細胞でのカタラーゼ活性は、1.0 mTでの7日間ばく露後には増加に転じた;未分化細胞において、急性ばく露(0.1または1.0 mT)は自発的な細胞内Ca2+変動に影響を及ぼし、慢性ばく露後には細胞内Ca2+の基礎レベルが上昇を示した;さらに、急性ばく露は脱分極剤に対する細胞応答に影響を及ぼしたが、基底膜電位は変化しなかった、と報告している。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 1 to 7 days |
Additional information | horizontally polarized |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | cylindrical 340 mm long solenoid with a diameter of 113 mm mounted on a non-magnetic support base and placed inside an incubator; cells positioned in plastic dishes inside the solenoid |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 30 min |
Additional information | horizontally polarized |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | pair of Helmholtz coils with a radius of 445 mm each and a distance of 400 mmm placed perpendicular to the ground in the working zone of a confocal microscope on a non-magnetic carrier; dishes with cells located in the spherical exposure area with a radius of 10 mm in the centre of the microscope stage |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
長期間の超低周波電磁界ばく露は、PC12細胞の応答(増殖及び神経突起生成)に有意に影響しないようであった。
但し、急性ばく露(30分間)中、未分化のPC12細胞では、活性酸素種のrベルが上昇し(1mT)、カタラーゼ酵素活性が低下した(0.1及び1mT)。対照的に、1mTの慢性ばく露(7日間)後にはカタラーゼ酵素活性の上昇が見られた。急性ばく露(0.1及び1mT)は、未分化細胞での自発的な細胞内Ca2+の変動を減少させた。細胞内Ca2+の基底濃度は急性ばく露(30分間)中に変化しなかったが、未分化細胞では慢性ばく露(7日間)後に増加した。加えて、急性ばく露は脱分極剤(塩化カリウム及びタプシガルギン、カルシウムを含まない培地中で)に対する未分化細胞の細胞応答に影響したが、基底膜電位は変化しなかった。
著者らは、活性酸素種及びCa2+が、超低周波電磁界による生体系への影響についての細胞の「原動機」となり得る、という仮説を支持している。
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