この研究は、マウス実験で、超低周波磁界(ELF-MF)へのばく露が脳組織のDNAに損傷を引き起こし、70 kDaの熱ショックタンパク質(hsp70)の発現を誘導するか否かを調べた。CD1マウスにMF(50 Hz、1 mT)ばく露を、15時間/日で、1日間または7日間与えた。ばく露終了時または24時間後に屠殺し、脳組織を摘出して、大脳皮質-線条体、海馬、小脳の各組織の一次DNA損傷とhsp70遺伝子発現を評価した。無ばく露群および擬似ばく露群を対照に用いた。食物摂取、体重増加、および運動活動も評価した。その結果、ばく露終了時に屠殺されたばく露群のマウスのすべての脳領域で、一次DNA損傷が対照に比べ増加した;コメットアッセイで評価したDNA損傷は、7日間ばく露終了の24時間後に屠殺されたマウスでは修復されたように見えた;1日間または7日間のどちらのばく露群でも、hsp70の発現、代謝および行動の変化は誘発されなかった;総括すると、マウスにELF-MFばく露を与えると、ストレス反応は誘発されず、可逆的な脳DNA損傷を誘発することが示された、と報告している。
マウスを無作為に3群に分けた:(1) ばく露群(n=38);(2) 偽ばく露群(n=36);(3) ケージ対照群(n=25)。ばく露マウスを更に3つのサブグループに分けた:(1) 1日ばく露し、ばく露の直後に屠殺(n=10);(2) 7日間ばく露し、ばく露終了時に屠殺(n=19);(3) 7日間ばく露し、ばく露の24時間後に屠殺(n=9)。偽ばく露群も同様に3つのサブグループに分けた(それぞれn=10、17、9)。
DNA損傷についての陽性対照をエックス線(6Gy)で実施した。熱ショックタンパク質発現についての陽性対照は、マウスを43℃に維持して実施した(直腸温度が42℃に達するまで)。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 1 day or 7 days (15 h per day) |
ばく露の発生源/構造 |
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チャンバの詳細 | during exposure mice were housed in a plastic cage placed in the center of exposure device |
ばく露装置の詳細 | each coil 6 cm wide (internal dimensions 43.5 x 40.5 cm; external dimensions of 44.5 x 41.5 cm) with 200 turns of insulated copper wire (diameter 1.6 mm); |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | effective value | 測定値および計算値 | - | - |
データは、対照群と比較して、ばく露終了直後に屠殺したばく露マウス(15時間または7日間)の全ての脳領域でのDNA損傷の増加を示した。7日間ばく露の24時間後に屠殺したマウスでは、DNA損傷は修復されたようであった。
短期(15時間)または長期(7日間)の磁界ばく露はいずれも、Hsp70発現、代謝及び行動に変化を生じなかった。
結論として、この結果は、イン・ビボでの超低周波磁界ばく露は脳に可逆的なDNA損傷を生じるが、ストレス応答は生じないことを示している。
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