この研究は、先行研究を背景としている。それは、低線量X線(10-200mGy)の子宮内ばく露で、胚性神経幹/前駆体細胞のDNA2本鎖切断(DSB)およびアポトーシスの量反応的な誘発が観察された一方、磁界(MF)ばく露ではDSBまたはアポトーシスの有意な誘発は観察されなかったというものである。この研究では、先行研究と同じインビボ実験系を用いて、100mGyのX線ばく露の3時間前から9時間後までのMFばく露(50 Hz、300µT)がDSB修復速度に与える影響を調べた。その結果、X線ばく露の前後のMFばく露は、X線誘発性DSBの修復速度に影響しなかった、と報告している。
48匹の妊娠マウスは6群に分けられた:1) 9時間の磁界擬似ばく露(n=4)、2) 9時間の磁界ばく露(n=4)、3) 10分間のX線擬似ばく露(その1および6時間後に検査)(n=8)、4) 20分間のX線ばく露(100 mGy)(その1、3、6、11時間後に検査)(n=8)、5) 3時間の磁界擬似ばく露+20分間のX線ばく露+磁界擬似ばく露(X線ばく露の1、6時間後に検査)(n=8)、6) 3時間の磁界ばく露+20分間のX線ばく露+最長9時間の磁界ばく露(X線ばく露の1、3、6、11時間後に検査(n=16)。
母マウスの磁界ばく露は、胎仔が13.5日の時に開始された。各実験群の各測定時点において、4匹の母マウスそれぞれにつき3匹の胎仔をとり、各胎児からの 2枚の脳組織切片を調べた(すなわち、各測定時点につきn=24)。例外として実験群 4)では、2匹の母マウスを用いた(すなわち、各測定時点につきn=12)。実験は1回だけ繰り返された。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 3 hours prior to and up to 9 hours after X-radiation
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 3 hours prior to and up to 9 hours after X-radiation |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | non-metallic cage |
ばく露装置の詳細 | up to four pregnant mice were housed in a non-metallic cage in the center of a pair of Helmholtz coils (vertical field; inner radius of coils = 25.5 cm); average noise levels were 63 dB(A) |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 300 µT | - | 測定値 | - | ± 5% |
X線ばく露を与えた全ての実験群(4-6)は、X線擬似ばく露群(3)に比べ、DNA二重鎖切断の数が有意に高かった。
実験群1と2(磁界の擬似ばく露とばく露)の間、および実験群5と6(磁界の擬似ばく露+X線とばく露+X線)の間に有意差は無かった。ただし、これらの群内で、母マウス間での有意な差異があった。しかし、このことがその他の結果の有意性にインパクトを与えることはなかった。
著者らは、マウスの50Hz磁界への子宮内ばく露はおそらく、DNAの二重鎖切断を引き起こさず、またX線誘導性DNA二重鎖切断の修復へも影響しなかった、と結論している。
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