研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[マウス胚の脳におけるX線誘発性DNA二本鎖切断の修復速度は50Hz磁界ばく露で変化しない] med./bio.

The rate of X-ray induced DNA double strand break repair in the embryonic mouse brain is unaffected by exposure to 50 Hz magnetic fields

掲載誌: Int J Radiat Biol 2015; 91 (6): 495-499

この研究は、先行研究を背景としている。それは、低線量X線(10-200mGy)の子宮ばく露で、胚性神経幹/前駆体細胞のDNA2本鎖切断(DSB)およびアポトーシスの量反応的な誘発が観察された一方、磁界MFばく露ではDSBまたはアポトーシス有意な誘発は観察されなかったというものである。この研究では、先行研究と同じインビボ実験系を用いて、100mGyのX線ばく露の3時間前から9時間後までのMFばく露(50 Hz、300µT)がDSB修復速度に与える影響を調べた。その結果、X線ばく露の前後のMFばく露は、X線誘発性DSBの修復速度に影響しなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

マウスでの50 Hz磁界への子宮ばく露がDNA二重鎖切断を引き起こすか、あるいはX線誘発性のDNA二重鎖切断の修復に影響するかを調べること(X線照射3時間前から照射後9時間までの磁界ばく露)。

詳細情報

48匹の妊娠マウスは6群に分けられた:1) 9時間の磁界擬似ばく露(n=4)、2) 9時間の磁界ばく露(n=4)、3) 10分間のX線擬似ばく露(その1および6時間後に検査)(n=8)、4) 20分間のX線ばく露(100 mGy)(その1、3、6、11時間後に検査)(n=8)、5) 3時間の磁界擬似ばく露+20分間のX線ばく露磁界擬似ばく露(X線ばく露の1、6時間後に検査)(n=8)、6) 3時間の磁界ばく露+20分間のX線ばく露+最長9時間の磁界ばく露(X線ばく露の1、3、6、11時間後に検査(n=16)。

母マウスの磁界ばく露は、胎仔が13.5日の時に開始された。各実験群の各測定時点において、4匹の母マウスそれぞれにつき3匹の胎仔をとり、各胎児からの 2枚の脳組織切片を調べた(すなわち、各測定時点につきn=24)。例外として実験群 4)では、2匹の母マウスを用いた(すなわち、各測定時点につきn=12)。実験は1回だけ繰り返された。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 3 hours prior to and up to 9 hours after X-radiation

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 3 hours prior to and up to 9 hours after X-radiation
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
チャンバの詳細 non-metallic cage
ばく露装置の詳細 up to four pregnant mice were housed in a non-metallic cage in the center of a pair of Helmholtz coils (vertical field; inner radius of coils = 25.5 cm); average noise levels were 63 dB(A)
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 300 µT - 測定値 - ± 5%

Reference articles

  • Saha S et al. (2014): [50Hz磁界には反応せず、非常に低線量のX線に反応したマウス胎仔の脳のアポトーシスおよびDNA二重鎖切断の増加]
  • Kabacik S et al. (2013): [商用周波磁界に応答した幼若マウスの骨髄での転写に関する研究]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

X線ばく露を与えた全ての実験群(4-6)は、X線擬似ばく露群(3)に比べ、DNA二重鎖切断の数が有意に高かった。

実験群1と2(磁界擬似ばく露ばく露)の間、および実験群5と6(磁界擬似ばく露+X線とばく露X線)の間に有意差は無かった。ただし、これらの群内で、母マウス間での有意な差異があった。しかし、このことがその他の結果の有意性にインパクトを与えることはなかった。

著者らは、マウスの50Hz磁界への子宮ばく露はおそらく、DNAの二重鎖切断を引き起こさず、またX線誘導性DNA二重鎖切断の修復へも影響しなかった、と結論している。

研究の種別:

研究助成

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