この研究は、比較的高齢(40-60歳)の健康な男性(n = 22)および女性(n = 24)を被験者として、電力周波磁界(60 Hz)への制御されたばく露が心拍変動(HRV)および睡眠ポリグラフ評価項目に変化を引き起こすか否かを、無作為化二重ブラインド、クロスオーバーデザイン用いて調べた。終夜ばく露実験(合成磁束密度28.3 μT)および終夜対照実験(無ばく露(≦ 0.2 μT))を、カウンタバランスをとって実施し、両実験で得られた評価項目を比較した。その結果、ばく露時の男性で、HRV周波数スペクトルのLFバンドのパワー低下が見られた(P < 0.04)(女性ではこの変化はなかった);ばく露時の女性で、レム睡眠の持続時間減少(P = 0.03)、睡眠効率低下(P = 0.06)および総睡眠時間減少(P = 0.06)の強い傾向性が見られた(男性ではこの変化はなかった)、と報告している。今回の比較的高い年齢層での性別特異的な影響は、先行研究の若い男性と女性での結果を再現したと述べている。
健康な男性(22人)及び女性(24人)が、1週空けて2夜ずつ、検査室で23:00から07:00まで眠った。最初の2つのセッションは、心臓のエンドポイントに対する夜間ばく露の影響の評価に用いた。無作為抽出した半数の被験者を第1夜にばく露、第2夜に偽ばく露した;残りの被験者は逆の順序とした。1週間後、睡眠パラメータの検査のため、被験者は更に2夜を過ごした。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
intermittent for 8 h (1 h on, 1 h off; during field on: field cycled between on and off in 15 s intervals)
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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偏波 |
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ばく露時間 | intermittent for 8 h (1 h on, 1 h off; during field on: field cycled between on and off in 15 s intervals) |
ばく露の発生源/構造 |
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チャンバの詳細 | each subject slept overnight in a sound-attenuated and air-conditioned exposure test room (a cube about 2.4 m on each side) |
ばく露装置の詳細 | Merrit-type horizontal and vertical concentric coil system surrounding the exposure chamber; one axis of the field was phase-shifted 90° |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 28.3 µT | - | - | - | - |
心拍変動 に関しては、ばく露条件では偽ばく露条件と比較して、男性被験者に夜間全体を通じたパワースペクトルの低下(それぞれ低周波)が認められた。磁界依存性の影響は女性には認められなかった。
睡眠 に関しては、ばく露された女性では偽ばく露された女性と比較して、REM睡眠の時間の割合の低下が認められた。加えて、偽ばく露された女性と比較して、眠ったままの時間の合計、及び睡眠効率が低下した。磁界依存性の影響は男性には認められなかった。
著者らは、本研究で高齢のボランティアに認められた性別固有の影響は、より若い男女についての先行研究(Sastre、1998;Sait、1999;Graham、1996)の結果を再現するものである、と結論付けている。
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